早くも2014年を代表するコンテンツとして確定したディズニー作品『アナと雪の女王』。主題歌『レット・イット・ゴー~ありのままで~』は、May J.(メイ・ジェイ)によるエンディングバージョン、ヒロイン「エルサ」を担当した松たか子による劇中バージョン、それぞれに良さがある(ちなみに、歌い手が二人いるのは原語版でも同じだ)。特に松たか子の歌声は、これまでの彼女のディスコグラフィーの印象を覆すようなエモーショナルなものだった。加えて、イディナ・メンゼルが歌うオリジナルも人気に。老いも若きも「レリゴー、レリゴー(「レット・イット・ゴー」の発音がこう聞こえる)」と口ずさんでいる。CDや配信のセールスも好調で、カラオケランキングも席巻。こうした状況がいま、「レリゴー現象」と呼ばれている。

 予想以上のヒットを受けて、「“みんなで歌おう♪”歌詞付き」という企画が限定公開された。劇中の歌声に合わせて、観客が歌える趣向だ。アメリカで「シング・アロング」と呼ばれる形式で、海外ではよく親しまれている。ところが、襟を正して映画鑑賞する日本の国民性にはそぐわないのでは?と、当初は上映する予定がなかった。「レリゴー現象」を受けて、ゴールデンウィーク限定で一部劇場で実施したところ、それなりに好評をもって迎えられたようだ。引っ込み思案な日本人をノリよくさせたものは、誰もが認めるヒット作という流行感覚からか、それともキャストの爽快感あふれる歌声の力なのか。ただ、成功は歌唱指導などがあった雰囲気のよい館のみで、恥ずかしさが先に立って沈黙してしまった館もあるようだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る