私たちが日常生活で摂取している糖質は、自然界に多量に存在するブドウ糖や果糖など7種類の単糖(糖の最小単位)だ。これに対して、キシリトールやエリスリトールなど、それぞれの存在量がわずかしかない単糖とその誘導体を「希少糖」と呼ぶ。

 なかでも、いま、注目されているのが「D-プシコース」という希少糖。砂糖の7割程度の甘さがあるのに、食後の血糖値の上昇を抑えたり、内臓脂肪の蓄積を抑えたりする働きがあるという。また、動脈硬化を抑制する効果、虫歯になりにくい「抗う蝕性」も報告されている。

 D-プシコースは、1991年に香川大学の何森健(いずもり・けん)教授が農学部キャンパスで発見した酵素を用いて、果糖から人工的に作り出すことに成功。その後、香川大学が県内の研究機関や企業と連携しながら産官学連携で生産技術を確立し、量産化が可能になった。

 2011年、手始めに県内限定で業務用のD-プシコースのシロップを販売すると、健康志向とあいまって多くの食品会社から注文が殺到。いまでは販路が広がり、コンビニスイーツにも用いられるようになっている。

 飽食の現代人にとって、「食べても太らない」希少糖は魅力的な素材かもしれない。だが、どんなに食品の機能性が高くても、食べ過ぎてもいいということではない。

 健康を維持するには、希少糖も取り入れながら、バランスのよい食事をとるように心がけたいものだ。

   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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