ブリや鯛などを養殖する際、エサにみかんや柚子(ゆず)など柑橘類の皮や果汁を混ぜて育てるフルーツ魚。養殖魚に柑橘類を与えた当初の目的は、魚の変色を防ぐことだったが、その副産物として「柑橘系のさわやかな風味がする」といった声が寄せられるようになった。

 フルーツ魚の研究が盛んなのは、愛媛県や徳島県、大分県などの西日本だ。たとえば、大分県の農林水産研究指導センターが2011年10月に発表した研究では、カボス果汁をパウダーにして餌にまぜてブリに与えたところ、抗酸化機能が働き、血合い肉の鮮やかな色が持続。最大40時間程度変色を遅らせることができたという。また、食味試験では、「歯ごたえがよくさっぱりしていて、風味がよい」という評価を得ており、「かぼすブリ」として市場に出ている。

 このほかにも、愛媛県の「みかんブリ」、徳島県の「すだちブリ」、和歌山県の「レモンブリ」などがあり、地域特産の柑橘類を使った新しいブランド魚として注目されている。回転ずしチェーンで、このフルーツ魚を使ったところ、売り上げが通常のブリの2倍になっており話題性は十分あるようだ。

 魚の消費量は年々落ち込んでいるが、フルーツ魚の登場で巻き返しを図れるのか。また、地域おこしに一役買うことができるのかも気になるところだ。

   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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