国や地方公共団体、認定を受けたNPO法人などへの寄付は、所得税の寄付金控除の対象となり税制優遇を受けることができる。

 個人が寄付をした場合の税制優遇の方法には、次の2種類がある。

●所得控除
 1年間の寄付の合計額から2000円を差し引いた金額を、年間所得から差し引ける。控除できる金額は、その年の総所得金額の40%まで。

●税額控除
 1年間の寄付の合計額から2000円を差し引いた金額の40%を、その年の所得税額から直接差し引ける。対象となる寄付金額は、総所得金額の40%まで。

 どちらを利用するかは個人の自由だが、1年間に10万円寄付した場合に還付される税金の目安は、所得控除と税額控除では次のような差がでる。

・所得控除(所得税率10%の場合)
(10万円-2000円)×10%=9800円

・税額控除
(10万円-2000円)×40%=3万9200円

 よほど高所得者でたくさん納税している人でない限り、税額控除を利用したほうが有利になる。寄付金控除を受けるには、自分で確定申告をする必要があるので、今年1年間にNPO法人などに寄付をしたという人は、領収書を添えて忘れずに申告しよう。条例で定めている自治体の住民なら、住民税でも優遇が受けられる。

 一定の税制優遇を受けられる寄付金控除は、税金を支払う代わりに、自分が応援したいNPO法人などに直接、お金を渡せる仕組みでもある。つまり、税金の使い道を自分で決められるというわけだ。

 寄付金控除の対象になる認定NPO法人には、貧困問題、労働問題、環境問題、被災地支援、市民メディアなど、さまざまな取り組みをしている団体がある。自分が共感できる団体に寄付をして、彼らの活動を応援することは、自分が暮らしやすい社会を手に入れることにもつながっているのだ。


 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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