八木沢ダム、奈良俣ダムなど、首都圏の水瓶である利根川水系のダムの貯水率が、ここ数年では例をみないほど低くなっている。

 渇水がいちばん大きいのは八木沢ダムで、7月24日0時現在の貯水率は38%。平年と比べて45%しかダムに水がない。利根川水系8ダムの合計も、貯水率は52%で、平年比58%。そのため、流域の1都5県は同日、10%の取水制限を開始した。

 通常、水不足の対応策として、最初に行なわれるのは川からとる水の量を抑える取水制限だ。それでも雨が降らずに渇水が続くと、一段上の措置として給水制限が行なわれる。

 給水制限は一般家庭や事業所への給水量を減らすことで、減圧給水と時間給水がある。

●減圧給水:給水圧力を下げて、水が出る量を少なく調整する。水が濁ったり、水の出が悪くなることがある。
●時間給水:通常、水道水は24時間給水されているが、その時間が制限される。いわゆる断水だ。


 このまま雨が少ない状況が続くと、なんらかの給水制限が行なわれる可能性もある。1994年は東京都で7月29日から9月8日までの42日間、給水制限が行なわれて、市民生活にも影響を及ぼした。

 水は自然の恵みだ。人の力で雨を降らすことはできないが、個人で水を無駄にしない努力はしたいもの。

 通常、水を出しっぱなしにすると、1分間で12リットルの水が流れていく。たとえば、シャワーを15分間使うと、浴槽1杯分の水の量に匹敵するので、こまめにシャワーを止める習慣はつけたい。蛇口をひねらなくても、手元についたボタンで簡単に水を止められるシャワーヘッドに交換するといった方法もある。仮に3分間シャワータイムを短縮できれば36リットルの節水になる。4人家族なら月4320リットルで、水道代も1067円の節約になる。

 このほか、お風呂の残り湯を洗濯や掃除に使ったり、トイレを流す水のレバーを用途に合わせて大小切り替えたりすれば、水道代は節約できる。

 渇水が懸念される今年は、普段以上に節水を心がけると同時に、水道局からの情報にも注意して万一の給水制限に備えるようにしよう。

※上下水道代は、1リットルあたり0.247円。東京都23区で呼び径(水道管の太さ)20ミリメートルで、1か月の水道使用量が24立方メートルの場合で筆者が試算。あくまでも目安の料金で、地域、使用する水量などによって料金は異なる。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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