これまで禁止されてきたインターネットを使った選挙運動について、解禁する方向で与野党の議論が進んでいる。早ければ、今国会で公職選挙法を改正し、夏の参院選から導入される見通しだ。

 公職選挙法は選挙期間中に、法定ビラや選挙ポスターを除く「文書図画」の配布を認めていない。ブログの更新なども「文書図画」と見なし、禁止している。同法が改正されれば、政党や候補者は、選挙期間中、ホームページ、ブログ、ツイッターやフェイスブック、電子メールなどを通じ、投票を呼びかけたり、政策をアピールしたりすることができる。選挙集会の告知やライバル陣営との論戦も容易になるだろう。ポスター貼りや文書の配布より、選挙費用が安くつくというメリットもある。

 導入に向けて課題もある。メール送信者の「なりすまし」、誹謗や中傷被害への懸念だ。そのため自民党の改正案では、メールの送信を政党と候補者に限定し、送信先の同意が必要とする。公明党、日本維新の会と共同提案する考えだ。有権者を含めて全面解禁を主張する民主、みんなの党と隔たりがあるが、与党案が成立するのは確実だ。 

 自民党内には参院のベテラン議員を中心に、根強い慎重論もあった。ネットに不慣れで、選挙となれば、新たにネット責任者を置かねばならないなど、手間がかかると思っているからだ。そのため、自民党内には「時期尚早だ」として導入を次期参院選後とする先送り論も出ていたが、それを押しきるかたちでの提案となった。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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