幼い子どものしつけに悩む母親は多い。現代は、核家族化や地域とのコミュニケーション不足で、ますますその判断に苦しむ状況となっている。ただ、結局は「悪いことをするとオバケが来るよ」といった「古典的」なやり方に落ち着いたりする。おどろおどろしい絵巻をもとにした『絵本 地獄』(風濤社(ふうとうしゃ))のベストセラー化は、このことを端的に表しているだろう。
 時代が変わっても変わらないやり方がある。このことをしみじみ感じさせるのが、スマートフォンの「しつけ」アプリのヒットだ。名前を「鬼から電話」という。「言う事をきかない時」「寝ない時」など複数の設定からシチュエーションを選ぶと、鬼やオバケから着信。子どもの反応を見て、まだぐずるようであれば「通話」に移行する。 「着信」画面の鬼の後ろ姿(これだけで雰囲気が怖い)が、「通話」で振り向いて話し出すときのインパクトは大。送り手のメディアアクティブ株式会社では「ほどよい怖さ」を狙っているそうだが、それどころではない「効果」があると親たちから評判だ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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