ロコモティブ・シンドローム(locomotive syndrome/運動器症候群)の略称。
 骨や軟骨、筋肉など身体を動かす「運動器」の障害によって、寝たきりになったり、介護が必要になったりする危険性が高い状態を指す。「メタボ」に対抗し、日本整形外科学会が2007年に提唱し始めたものだ。
 腰痛や肩こり、手足の痛みなどを自覚している人は多いものの、すぐに命に直結する危険は少ないため後回しにされがちだ。しかし、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2010年)によると、介護が必要になった原因の上位5つは、①脳血管疾患、②認知症、③高齢による衰弱(老衰)、④関節疾患、⑤骨折・転倒で、運動器の疾患が2つも入っている。たとえ内臓が健康でも、骨や筋肉などが衰えると健康寿命を損なう可能性が高くなるのだ。
 ロコモかどうかの目安は、「片足立ちで靴下がはけない」「家の中でつまずいたり滑ったりする」「階段を上るのに手すりが必要」「横断歩道を青信号で渡りきれない」「15分くらい続けて歩けない」「2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難」「家の中のやや重い仕事(掃除機の使用など)が困難」の7項目のうち、1つでも当てはまると疑わしい。
 気になる人は、早めに整形外科を受診して適切な治療を受けるとともに、転倒・骨折予防のトレーニングも心がけたい。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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