『週刊ポスト』(1/1・11号)のビートたけしの連載「21世紀毒談」特別版で、歴代のAV(アダルトビデオ)タイトルの中のナンバーワンを決めるという特集。
 リードに「なんだかパッとしない世の中だが、18禁の大人の世界では、思わず赤面&爆笑してしまうAVタイトルが続々誕生」とあるが、なかなかの迷(?)作揃いである。
 たけしの前にAVを山積みして選んでいく。まずは邦画タイトル編。国民的作品へのオマージュとして『オ×コはつらいよ 葛飾区編』があがる。
 次に「『20センチ少年』ってのには笑ったな~。元ネタは『20世紀少年』か。ビッグな股間を武器に、全世界に“ヤリともだち”の輪を広げようってのかね」(たけし) 
 『前戯なき戦い』。スタジオジブリ作品のパロディで『天空の塔ドピュタ』『マゾの宅急便』『しものけ姫』『股の下のポニョ』『事をすませば』 と続く。
 北野武作品のパロディも『この女、淫乱につき』『亀頭市』などと多い。
 洋画編に移って『パイパニック』『今そこにある乳』『不思議の国のアヌス』。巨大なホオジロザメが襲ってくるパニック映画風の『床ジョーズ』など。
 テレビ番組編では『それいけ! パイパンマン』『便器が出るテレビ』。松嶋菜々子主演で視聴率40%超えを記録したお化け番組のパロディで『家政婦の股』。ほかにも『世界の射精から』『女熱大陸』、往年の名作アニメから『あしたのニョー』がノミネートされる。
 ベストセラー本からは『限りなく透明に近いブルセラ』。たけしが「もはや哲学すら感じさせる」と感嘆する。
 『サオだけではなぜ満足しないのか?』は『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』のパロディ。
 ヒット曲やCMからは『放尿だよ、おっかさん』。平松愛理(えり)のヒット曲からのパロディ『部屋と猥褻と私』がノミネート。
 ほかにも『ロトセックス』『シコシコジャパン』などあがるが、最新の流行語をパロッた作品が出てこないとたけしは嘆いている。
 映倫審査や許認可を受けた業者が制作するAV数は年間2000本。AVでデビューする女優は900人といわれているようだ。
 タイトル一つで売れ行きが違ってくるから、週刊誌などもそうだがタイトルには作り手の汗と涙が染みついている。
 たけしが選んだ歴代1位に輝いたAVタイトルを発表しよう。
 「『あしたのニョー』に決定! こんな名作が過去にあったんだってことを知らしめて、元気がないニッポンのエロ産業に奮起を促したい」(たけし)
 くだらないとお嘆きになる諸兄にひと言。たかが週刊誌、されど週刊誌である。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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