日本名は竹島。8月に李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領が上陸したため、日本側は領土侵犯だと強く反発している。
 『週刊新潮』(8/30号)によれば、歴史的に竹島は1905(明治38)年に明治政府が、尖閣諸島と同様に、周辺諸国の占有がなされていないと判断したうえで閣議決定により島根県に帰属する官有地として「実効支配」を始めた。だが1952(昭和27)年、韓国は李承晩(イ・スンマン)大統領のとき一方的に「李承晩ライン」なる境界線を引いて韓国領土に組み入れ、以降、警備兵を常駐させるなどして「実効支配」を続けている。
 韓国人にとって独島は特別な島で、日本の植民地支配から解放された後に自らの手で奪回した領土と位置付けられている。
 昨年は約18万人の韓国人が島を訪れ、中学校で使われている社会科の教科書ではこの島の解説に1ページが割かれている。小さな子どもたちがクッキーに「独島愛してる」と書いたり、テレビ局の放送終了時の画面に毎日独島が現れる。
 先のロンドンオリンピックではサッカーの韓国代表選手が「独島はわが領土」というプラカードを掲げて批判されたが、国内では英雄視されている。
 だが『ニューズウィーク日本版』(9/5発行、以下『ニューズ』)でソウル・延世大学国際学部武貞秀士教授は、韓国側が国際法上の領有権の主張に一抹の不安を抱えていると指摘する。それだけに実効支配を強化する対策に迫られていて、李大統領の強引な独島上陸もそのためではなかったかというのだ。
 『ニューズ』は、韓国は日本との友好関係を維持すべきだとしながら、こう書いている。
「日本にも改めるべきところはある。(中略)韓国の民主主義がまだ未熟であることを理解してやるべきだ。定期的に高まる反日感情に神経をとがらせるのではなく、背景を理解してなだめてやるべきだ。なぜなら日本の安全保障と繁栄もまた、朝鮮半島情勢と強く結び付いているのだから」
 日本側は領有権問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴する方針を固めたが、韓国側が拒否しているため進展は望めまい。当面、反日・嫌韓感情を和らげる手立ては見つかりそうもない。
 12月には韓国の新大統領が決まる。互恵精神と大人の知恵をもった人物がなることを祈りたいものである。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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