親子で学ぼう!漢字の成り立ち 親子で学ぼう!漢字の成り立ち

第11回 人の形から生まれた文字〔1〕

人を横から見た形(2)

北・背・衆・従
『北』
5画(ホク・きた)小学2年
  • 甲骨文字
  • 金文
  • 篆文
(会意)右向きの人の形と左向きの人の形とを、背中合わせに組み合わせた形。
説明背(せなか)がもとの意味です。『説文解字』に「乖(そむ)くなり」とあります。王は儀式を行うときには南を正面にして座りますから、王の背を向ける方向、そむく(背向く)方向を北といい、「きた」の意味となります。また敵に背中を向けて逃げることを、敗北<敗れて北(にげ)る>といいます。
用例「北進」(きたに向かって進むこと)・「北風」(きたの方から吹いてくる風)。
解説背中を合わせる人の形で、背の意味をもちます。北がもっぱら方位の北の意味に使われるようになったので、別に人の体の部分を意味する月(にくづき)を加えた背の字が作られ、「せ、せなか」の意味に使われました。
『背』
9画(ハイ・せ・せい・そむく・そむける)小学6年
  • 篆文
(形声)音符は北(ほく)。北に(はい)の音があります。
説明北が背の最初の形ですが、北が方位の「きた」の意味に使われるようになったので、「せ・せなか」を意味する字として、月(もとは肉の形で、人の体の部分を意味する「にくづき」です。この場合は日月の月ではありません)を加えた背(はい)の字が作られました。
用例「背中・背後」(うしろの方)・「背景」(うしろの景色やようす)・「上背」(うわぜい:背たけ)。
解説「北」の解説をご参照ください。
『衆』
12画(シュウ・シュ・おおい)小学6年
  • 甲骨文字
  • 金文
  • 篆文
(会意)目と三人とを組み合わせた形。
説明目は古く甲骨文字では囗(い)の形に作ります。囗は都市をとり囲む高い囲い、城壁です。衆は囗の下に三人の人の形を加えたもので、衆とは都市を守る城壁の中の多くの人々のことです。多くの人々ですから、「おおい」という意味になります。
用例「民衆」(世間の人びと)・「大衆」(多くの人びと)・「聴衆」(音楽会などに集まった人びと)。
解説目の形はもと囗(い)であって、集落を囲む城壁の形。その囗の中に多くの人が住んでいる形が衆です。人は囗の下にかいてありますが、囗の中にいるという意味です。金文の形は目の下に三人をかいているので、監視の下にある人びとの意味であるかもしれません。
『従』
10画〔從〕11画(ジュウ・ショウ・ジュ・したがう・したがえる)小学6年
  • 甲骨文字
  • 金文
  • 篆文
(会意)旧字は從(じゅう)に作り、(ちゃく)と从(じゅう)とを組み合わせた形。
説明从(じゅう)は人が左向きに二人並んだ形で、従の最初の形です。(ちゃく)(のもとの形)は小径を歩くという意味の字です。したがって従は前の人に従って歩くの意味から、「したがう」の意味になります。
用例「従者」(じゅうしゃ:おとも)・「服従」(他人の命令にしたがうこと)・「従事」(ことにしたがうこと。仕事をすること)。
解説「从(じゅう)」は一人の人が前の人について歩いている形で、従のもと字です。軍事や祭事に随行・随従する(つき従う)の意味から、服従する(人に従う)の意味や、従事する(ことに従う。つとめる)の意味にも使います。
● 日本文字文化機構文字文化研究所 認定教本より

ここで紹介している日本文字文化機構文字文化研究所編集の教本は、最高峰の漢字辞典『字通』に結実した白川静文字研究の成果をもとに、漢字の成り立ちをわかりやすく解説した学習コラムです。白川静『字通』のオンライン検索サービスは、基本検索ならびに詳細(個別)検索でご利用いただけます。
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