日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「その曲のさわりを歌ってみて」と言われたとき、みなさんは曲のどの部分を口ずさむであろうか。
文化庁が発表した平成19(2007)年度「国語に関する世論調査」では、「話のさわりだけ聞かせる」という例文に対して、「話などの要点のこと」の意味で使う人が35.1%、「話などの最初の部分のこと」の意味で使う人が55.0%という結果が報告されている。
 実は、この「さわり」とは、元来は義

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 読者から「か月」「6ヶ月」などと書くときの「か(ヶ)月」は、ひらがなの「か月」と書くのが正しいのか、カタカナの「ヶ月」と書くのが正しいのか、どちらであろうかという質問を受けた。
 実は「6ヶ月」の「ヶ」はカタカナの「ケ」ではない。「ケ」のように書いてはいるが、文字ではなく一種の符号なのである。この「ケ」は、物を数えるときに使う漢字「箇」の竹かんむりの一方をとったものとも、古くから「箇」

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 経験や知識、技能などが他の人より少しすぐれていることを「一日の長」と言うのだが、この「一日」をみなさんは何と読んでいるであろうか?「イチジツ」?「イチニチ」?
 この語の出典は「論語」で、「以吾一日長乎爾、毋吾以也(吾が一日爾〈なんじ〉より長ぜるを以て、吾を以てすることなかれ=私がおまえ達よりも少し年が上だからと言って、遠慮はいらない)」(先進)による。出典が漢籍なので「イチジツ」と読

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 「卯月」とは陰暦4月の異称であるが、なぜ「卯月」というのかは諸説あってはっきりしない。「卯の花月」で「卯の花」の咲く月の意とも、「植月(うつき)」でイネの種を植える月の意ともいう。「卯の花」は唱歌『夏は来ぬ』でご存じの方も大勢いらっしゃるであろう。「うの花のにほふ垣根に、時鳥(ほととぎす) 早もきなきて」。つい口ずさみたくなる美しい歌である。「卯の花」はウツギの花で、白く咲き乱れる様は古くからホ

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