日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 プロ野球の日本ハムやロッテで監督を務めた大沢啓二氏が10月7日に亡くなった。毎週日曜日の朝、「サンデーモーニング」というテレビ番組での「あっぱれ!」「喝!」という威勢のいい声を楽しみにしていたので、残念でならない。そこで、大沢氏が名プレーに対する賞賛のことばとして使っていた、この「あっぱれ」のことを書いて哀悼の意を表したいと思う。
 「あっぱれ」は元来は「あわれ(哀)」で、促音化して意

キーワード:


 先日、NHKのドキュメンタリー番組を見ていたら、語り手の女優さんが「声をあらげた」と言ったので、一瞬アレっ?と思った。だが、すぐにテレビ・ラジオでは「あららげる」「あらげる」の両形を認めていたことを思い出し、いちおう納得した。
 だが、この「あららげる」「あらげる」は放送はそうであっても(新聞も放送と同じ)、国語辞典では辞典によって扱いがまちまちなのである。それを整理すると以下のように

キーワード:


 陰暦10月の異称である。その語源は、10月には日本国中の神々が出雲(いずも)大社に集まって、出雲以外の国々は「神無し月」になる(逆に出雲では「神在(かみあり)月」という)という説があまりにも有名だが、この説が必ずしも定説となっているわけではない。
 けっこう面白い説があるので、それらを簡略にご紹介したい。

(1) 諸社に祭のない月であるから〔『徒然草』など〕

キーワード:


 前回の「北信流」で長野では「手締め」の代わりに「万歳三唱」を行うと書いたが、今回は「手締め」の話である。「手締め」とは、物事の決着や成就などを祝って、掛け声とともに大勢が拍子を合わせて手を打つことで、「手打ち」ともいう。一般的なのは「一本締め」でこれは、
  『よーっ(掛け声) シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャン、シャン』
と手を打つやり方である。これを3回繰り返

キーワード:


 「北信流」などというと剣術の流派のようだがそうではない。宴席における中締めの儀式のことである。「北信」とは北信地方のこと。先日その北信地方の中心部長野市に行く機会があり、初めて「北信流」という独特な儀式を体験することができた。「北信流」は真田氏松代藩から起こった儀式だという。松代は現在の長野市南部に当たる。
 儀式の詳しい流れは省略するが、宴席が落ち着いたころに参会者の1人から、「本日

キーワード: