日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「ぐっすり」の語源は英語の「good sleep(グッドスリープ)」の略だという説が、かなり広まっているようだが本当かという質問を受けた。筆者自身は初耳なので驚いたのだが、確かにそのように思っている人がけっこういるらしい。
 だが、残念(?)ながら「ぐっすり」は江戸時代からある正真正銘の日本語なのである。『日国』には、「ちゃんと爰(ここ)へ来てグッスリと寝て」という『清書帳』という雑俳

キーワード:


 漢字の「初」は、「はつ」とも「うい」とも読む。「初詣」は「はつ」、「初陣」は「うい」である。どちらも、「最初の」という意味で使われる。あえて違いを述べるなら、「はつ」の場合は、その年はじめてのという意で用いられることが多いという点だろうか。もちろん「初耳」のように例外もあるのだが。いずれにしても、「初詣」「初雪」「初陣」「初々しい」のように、「うい」なのか「はつ」なのか迷うことはほとんどないと思

キーワード:


 先日、エフエム東京のシナプスという昼の番組で、1日1語ずつことばを取り上げ、その語にまつわる話をする機会があった。その中で、今の季節にふさわしいことばと考えて「小春日和」を紹介したのだが、番組をお聞きになった方や、番組スタッフから、秋のことをいうことばだとは知らなかったという感想を頂戴した。
 「小春」という語は、 冬の初めの春に似て温暖な気候のことをいい、 それが転じて陰暦10月

キーワード:


 陰暦11月の異称はいかにも冬らしい呼び名である。ほぼ太陽暦の12月にあたり、この月になると霜が降りるようになるところから「霜降月」といったのが、「霜月」に転じたといわれている。
 「霜月」以外にもこの月の異称は多く、「神帰月(かみかえりづき)」「神楽月(かぐらづき)」「雪待月(ゆきまちづき)」などともいう。
 面白いのは「神帰月」。これは、陰暦10月(神無月)に出雲大社に集ま

キーワード:


 標題のような質問を受けた。
 確かに謝罪するとき「ごめん」と言うが、よくよく考えてみると「ごめん」とは不思議なことばである。元来は「許可」を意味する「免」に尊敬を表す接頭語「御」の付いたもので、正式に許可や認可することを、その決定を下す者を敬っていう語であった。「天下御免」などというときの「御免」である。それがどうして謝罪を意味することばになったのだろうか。
 正式な許可を下

キーワード: