日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 辞典編集部の企画で、サッカー日本代表の岡田武史元監督と『「辞書引き学習」のすすめ』(第49回)でご紹介した深谷圭助氏に、「言葉の力」というテーマで対談をお願いした。対談の詳しい内容は「辞書テク」(くわしくは

キーワード:


 「社長が会議で今年度の売上げ計画について檄を飛ばす」と言ったとき、みなさんはどういう状況を想像するだろうか。大方は、社長が机をドンとたたいて唾(つば)を飛ばしながら、「万難を排して目標を達成しなければならない」と叫んでいる姿を思い浮かべるのではなかろうか。
 だが、それは「檄を飛ばす」の本来の意味とはいえないのである。
 「檄を飛ばす」の本来の意味は、自分の主張や考えを広く人

キーワード:


 時まさに「風薫る五月」ということで、「薫(かお)る」の話である。
 シンガー・ソングライターの小椋佳さんに「シクラメンのかほり」という美しい歌がある。この歌のタイトルに使われた「かほり」だが、正しい歴史的仮名遣いは「かをり」だということをご存じの方は大勢いらっしゃるであろう。
 「かお(を)り」は「かお(を)る」の名詞形だが、「かお(を)る」の語源は、“香がそこにある”

キーワード:


 「電車が遅れて会議に出られなかったと言っているけど、あれは確信犯だよね」という言い方をすることがある。だが、この場合の「確信犯」は本来の意味の使い方ではないということをご存じだろうか。
 「確信犯」のもともとの意味は、政治的、思想的、宗教的な確信に基づいた義務感や使命感によってなされる犯行のことで、たとえば、思想犯・政治犯などと呼ばれるものがこれにあたる。そもそも「確信犯」とはドイツの

キーワード:


 4月の始めに仕事で京都に行った折りに、今年のNHKの大河ドラマ「江」の舞台で話題の滋賀に立ち寄った。かつては近江と呼ばれた滋賀は、「江」の時代には、中央にどんと構える湖琵琶湖の東岸に沿って、人々が慌ただしく往(い)き来していたような印象がある。
 その湖、琵琶湖だが、県域の約6分の1をしめていて、県内のどこにいてもその存在が意識される。以前、滋賀出身の朝日放送の名物プロデューサー松本修

キーワード: