日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「場違いな発言に失笑する」と言ったとき、みなさんはどういう意味で使っているだろうか。「失笑」の本来の意味は、思わず吹き出して笑ってしまうことなのである。
 ところが、文化庁が発表した平成23(2011)年度の「国語に関する世論調査」では、思わず吹き出してしまうという本来の意味で使うという人が27.7パーセント、笑いも出ないくらいあきれるという本来なかった意味で使うという人が60.4パー

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 先頃BSジャパンで「知られざる国語辞書の世界」という番組が放送されたのだが、ご覧になった方もいらっしゃると思う。その番組の中で、「ことばサミット」と称して、7冊の国語辞典の編集担当者が辞書について語り合うコーナーがあり、わが『日本国語大辞典』からも第2版の編集長が出演していた。  
 7冊の国語辞典とは8万項目前後の小型辞典から、20数万項目の中型辞典、そして『日本国語大辞典』のような

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 今回は思い込みはいけないという話である。もちろん自戒を込めて。
 みなさんは立ったり座ったりする身のこなしのことを何と言っているだろうか。「立ち居振る舞い」?または「立ち振る舞い」?
 筆者は長い間「立ち居振る舞い」が正しく、「立ち振る舞い」は誤用だと思っていた。ところが、あるとき「立ち振る舞い」も国語辞典の「立ち居振る舞い」の解説に同義語として載せられていて、中には見出し語

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 数字の「0」を、みなさんは何と読んでいるだろうか。「ゼロ」?「レイ」?
 もちろんその時々によって違うという方も大勢いらっしゃるであろう。だが、念のために確認しておくと、ゼロは英語のzero、レイは漢字「零」の漢字音である。当然のことながら改定常用漢字表でも、「零」の読みは「レイ」だけで「ゼロ」はない。
 なぜこのようなわかりきったことをあえて言うのかというと、国語辞典で「ゼ

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第155回
 

 福岡市が設置した仮想の行政区「カワイイ区」が何かと話題になっているようだ。市は「福岡の魅力や特性を、カワイイというコンセプトで発信」したいと考えたようだが、賛否両論が寄せられているという。
 もちろんここでその「カワイイ区」そのものの是非を論じようなどいう気は毛頭無い。ただ、なにやら「カワイイ」ということばそのものについてもいろいろ言われているようで、このままでは「カワイイ」ということ

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