日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 読者から「ぶり」という語の使い方について質問を受けた。「何年ぶり」などと言うときの「ぶり」の数え方がよくわからないというのである。
 念のために「ぶり」の意味を確認しておく。辞書的な説明をすると、「時間を表す語について、前回と今回との間にそれだけの時間が経過したという意味を表す語」ということになるであろう。
 よくスポーツ大会などで「○年ぶりの出場」などという言い方をするが、

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 このコラムでは辞書編集者泣かせのことばをいくつか取り上げてきたが、今回の「焦る」もそういったことばのひとつである。
 たとえばみなさんは「転びそうになって焦った」とか、「取引先の部長の名前を呼び間違えそうで焦る」などと言うことはないであろうか。つまり、危険や失敗が間近に迫っているように感じて、冷や汗が出るほどひどく慌てる気持ちで「焦る」を使うかどうかということである。
 実は

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 読者から、おたくの辞書で「だんぎ」という項目を引くと、漢字表記は「談義」しか載せておらず、「談議」がないのはけしからんというお叱りをいただいた。新聞のコラムを読んでいたら「談議」と書かれていたのだが、「だんぎ」とは議論や論議をすることなのだから、「義」ではなく言偏のついた「議」が正しいのではないかというご指摘なのである。
 確かにそのように言えなくもないのだが、「談義」と「談議」の関係

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 あまりいい表現ではないのだが、「ぐるになって人をだます」というときの「ぐる」を、みなさんは平仮名、片仮名のどちらで書いているだろうか。ちゃんと調べたわけではないのだが、「グル」と片仮名書きにしている人の方が多いのではないか。もちろん強調する意味で片仮名書きにするという人もいるかもしれない。だが、何となく外来語だと思っている人もけっこういるような気がする。
 しかし、「ぐる」はれっきとし

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 第157回の『「立ち振る舞い」という言い方』で、個人的な思い込みについて書いたが、今回は辞書にも思い込みはあるという話である。
 「少年易老学難成(少年老いやすく 学なりがたし)」という漢詩の一節をご存じの方も大勢いらっしゃると思う。「若いと思っているうちにすぐに年

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