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  11. 歎異抄

歎異抄

ジャパンナレッジで閲覧できる『歎異抄』の日本古典文学全集・国史大辞典・世界大百科事典のサンプルページ

新編 日本古典文学全集
歎異抄
たんにしょう
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歎異抄 全体

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歎異抄 拡大

【現代語訳】
(第一部) (序)
心の中でこっそり、愚かな考えをあれこれと働かせ、おおよそ、親鸞聖人ご在世の昔と、これを書いている今との状況を比べて究明してみると、亡き師が直接、口伝えに教えてくださった、真実なる信心と違ってきていることを悲しく思い、後進の人たちがその信心を引き継いでゆくうえに、疑い惑うことがあるかと思うのである。

幸せにも、関係の深い高徳の僧に頼らないならば、どうして、念仏という、実行しやすいただ一つの仏の道へ入ることができようか。けっして、自分本位の考えに立つ、覚ったような言葉で、阿弥陀仏という他力だけに頼って救われるという、浄土門の根本教義を混乱させてはならない。

そこで、亡き親鸞聖人がお話しになったことのご趣旨で、耳の奥底にはっきりと記憶に残していることを、わずかばかり書き記す次第である。これは、ひたすらに、信心を同じくする、念仏を行ずる人たちの疑問を晴そうとするためである。


一、阿弥陀仏のお立てになった誓願の、

【目次】
歎異抄(扉)
凡例
歎異抄(扉)(第一部)
(序) 竊かに、愚案を廻らして、粗、古今を勘ふる
一 一、弥陀の誓願不思議に助けられ参らせて、
二 一、各々、十余ケ国の境を越えて、身命を顧
三 一、善人なほもつて、往生を遂ぐ。況んや、
四 一、慈悲に、聖道・浄土の変りめあり。 聖
五 一、親鸞は、父母の孝養のためとて、一返に
六 一、専修念仏の輩の、我が弟子、人の弟子と
七 一、念仏は、無碍の一道なり。 その謂はれ
八 一、念仏は、行者のために、非行・非善なり
九 一、「念仏申し候へども、踊躍・歓喜の心お
十 一、「念仏には、無義を以て義とす。不可称
(第二部)
(序) そもそも、かの御在生の昔、同じく志をして
十一 一、一文不通の輩の念仏申すにあうて、「汝
十二 一、経釈を読み、学せざる輩、往生不定の由
十三 一、弥陀の本願、不思議におはしませばとて
十四 一、一念に八十億劫の重罪を滅すと信ずべし
十五 一、煩悩具足の身を以て、既に、覚りを開く
十六 一、信心の行者、自然に、腹をも立て、悪し
十七 一、辺地往生を遂ぐる人、終には地獄に堕つ
十八 一、仏法の方に施入物の多・少に随つて、大
(第三部)
(後記) 右条々は、皆以て、信心の異なるより、事起
(流罪記録) 後鳥羽院の御宇、法然聖人、他力本願念仏宗
(奥書) 右、斯の聖教は、当流大事の聖教たるなり。
校訂付記
解説
一 書名と成立時期
二 著者唯円とその師親鸞
三 文芸作品としての意義
四 底本について
参考文献



国史大辞典
〓異抄
たんにしょう
浄土真宗宗祖親鸞から学んだ教説と、それに反する異義の批判とを述べたもの。著者は直弟の常陸国河和田住の唯円とするのが定説である。一巻。巻頭の序、本文十八章、最後の総結の文から成る。本文は十章までの前半と以下の後半に分かれ、前半では親鸞から聞いた法語を記すが、その中には「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」(第三章)の有名な悪人正機説の文や、父母の孝養のために念仏せず(第五章)、親鸞は弟子一人ももたず(第六章)などの、親鸞の信仰体験を直接語る印象的な語が多い。後半の八章は唯円時代の異義を破し、かつ親鸞の教説を述べたもので、学解往生・賢善精進・念仏滅罪・即身成仏など八ヵ条の異義をあげている。ついで最後の総結の文で、親鸞の教えを正しく受けとることを願って本書を記す旨を述べ、「目やす」のために「大切の証文」を抜き出すといっている。さらに本願寺八世蓮如の書写本(本派本願寺蔵)では、巻末に余白をおいて、法然房源空と親鸞以下の門弟の流罪および親鸞の「愚禿」の命告の文を付している。前述の「大切の証文」の内容については古来問題がある。本書は明治以後急激に流布し、宗門内でも清沢満之らに重視され、一般にも近代の親鸞観を構築する根拠となった。蓮如書写本が最も古く、永正十六年(一五一九)本(大谷大学蔵)がそれに次ぎ、元禄十四年(一七〇一)刊本や写本、『定本親鸞聖人全集』四などの叢書類収録本も多く、註釈・解説書・講説書類も夥しい。
[参考文献]
了祥『歎異鈔聞記』(『新編真宗大系』一二)、金子大栄『歎異抄聞異録』、曾我量深『歎異抄聴記』、多屋頼俊『歎異抄新註』
(柏原 祐泉)


改訂新版 世界大百科事典
歎異抄
たんにしょう

親鸞の語録。1巻。編者は親鸞門弟の常陸国河和田の唯円(ゆいえん)。親鸞没後の真宗教団において,師説にそむく異端の発生を嘆き,誤りをただして正統を示し,念仏者の不審を明らかにしようとしたもの。前後に序文と結びの文をもつ18章の短文で構成され,前半10章は親鸞の言葉を記し,後半8章は唯円の意見を述べ異義を批判する。本書において親鸞の宗教の特徴を的確に把握できる。例えば,第3章には〈善人なをもて往生をとぐ,いはんや悪人をや〉と,悪人こそ阿弥陀仏の救いの主対象なのだという悪人正機(あくにんしようき)説を記している。この悪人を武士,商人あるいは漁夫など特定の社会階層にあてて理解する場合があるが,親鸞はみずからを清浄心なき汚濁の悪人とし,さらには〈よろづのこと,みなもて,そらごと,たはごと,まことあることなきに〉(結びの文)と,現実世界のあらゆる存在や行為はすべて虚仮(こけ)であるとする。こうして自己の行為,さらにはその存在自体が悪であるとの自覚は,反面,生への希望をあたえ支柱となるべき真実なるものを強く求めることになる。この要請にこたえたのが,真実者である阿弥陀仏だとする。これを〈煩悩具足のわれらは,いづれの行にても生死をはなるることあるべからざるを,あはれみたまひて,願をおこしたまふ本意,悪人成仏のためなれば,他力をたのみたてまつる悪人,もとも往生の正因なり。よて善人だにこそ往生すれ,まして悪人は,とおほせさふらひき〉(第3章)と悪人正機の趣旨を説明している。第5章には〈親鸞は父母の孝養のためとて,一返にても念仏まうしたること,いまださふらはず〉とある。なぜなら,自力で積んだ善行であれば父母に施して助けることもできるであろうが,そんな力はないので,〈自力をすてていそぎ浄土のさとりをひらきなば〉どんな業苦に沈んでいても,まず縁ある人を救うべきである。生きとし生けるものは,みな前生で父母であり兄弟であったのだ,人間はすべて同朋である,と主張する。第6章にも〈親鸞は弟子一人ももたず〉とあり,〈わがはからひにてひとに念仏まうさせ〉るならば弟子といえるが,仏のはからいによって念仏する人を弟子ということはできないという。

 親鸞には主著《教行信証》をはじめ書簡集などもあるが,親鸞の思想を端的に示すものとして本書に及ぶものはない。本書が近代に入ってからも日本人の心をとらえるのは,その文章の流麗さもあるであろうが,いのちの琴線にふれるその思想性の深さによるものであろう。
[千葉 乗隆]

[索引語]
親鸞 唯円 悪人正機(あくにんしようき)説
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仮定条件の逆接。とも。本願名號 本願の名号。南無阿弥陀仏。『正信偈』「本願ノ名号ハ、正定ノ業ナリ」。『歎異抄』「誓 願の不思議によりて、やすくたもち、となへや ...
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、三経ヲ按ズルニ、皆ナ金剛ノ真 心ヲ以テ最要ト為り。真心、即チ是レ大信心ナリ」。唯円『歎異抄』「弥陀の本願には、老少善 悪のひとをえらばれず、ただ信 ...
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