都道府県や市区町村など、地方自治体の境を越えて住所を移した人数を調べる統計。市区町村ごとに住民票をまとめた住民基本台帳を基に調べるもので、正式名称は「住民基本台帳人口移動報告」。推計人口を算出するための基礎データとして使われるほか、国や自治体の政策立案や人口移動研究に活用されている。総理府(現、内閣府)が1954年(昭和29)から調査・発表を始めた。2001年(平成13)から、総務省が毎月末に前月分を公表しているほか、毎年1月末~2月初めには前年の人口移動の全体像を公表している。原則として日本国籍をもつ国内居住者を調査対象としていたが、2013年7月から外国人を含む移動者数が公表されている。出生・死亡といった自然増減は反映されない。また、転入届を出さないと統計に反映されないため、単身赴任者や一時的に避難している被災者などは同報告に含まれない。
ある自治体へ移ってきた人数が、出ていった人数を上回ると転入超過、逆に出ていった人数が移ってきた人数を上回ると転出超過となる。阪神・淡路大震災後の人口移動報告では、兵庫県が6万人を超える転出超過となったほか、東日本大震災後の人口移動報告では、福島県が3万人を超える転出超過となった。調査開始以来、就職や進学などで大都市へ移り住む人が多く、地方から都市部への人口移動が続いている。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の流行下にあった2020~2021年(令和2~3)には、地方からの流出がやや鈍ったものの、2023年の人口移動報告では、全国40道府県、市町村の約7割が転出超過だった。一方、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は12万人を超える転入超過で、東京圏への一極集中が進んでいるため、政府は2027年度に、東京圏の転入超過を解消する目標を掲げている。