都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくは褥婦(じょくふ)に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者(保健師助産師看護師法6条)。本法に規定されている業務内容は看護師と同じであるが、業務を行うにあたっては「医師、歯科医師または看護師の指示を受けなければならない」とされ、看護師においては、療養上の世話については医師の指示なく独自の判断で実施できるのに対して、准看護師が業務を行うには「指示が必要」という点が看護師との大きな違いである。
准看護師の資格は、中学卒業後2年間の准看護師養成機関または3年間の高等学校衛生看護科での教育を受け、都道府県が実施する准看護師試験に合格することで得られる(看護師と異なり国家資格ではない)。
准看護師は、1948年(昭和23)に公布された保健婦助産婦看護婦法(現、保健師助産師看護師法)が1951年に改正された際に准看護婦として誕生した(その後、2001年に名称変更され准看護師となった)。この当時の女子の高等学校進学率は37%であり、医療機関にとって、高等学校卒業を資格要件とする看護師の確保がむずかしい状況があった。そこで、医療機関が必要な看護職を確保するために准看護師制度が設けられた。
2020年(令和2)時点で、女子の高等学校進学率は95.7%と大きく上昇しており、准看護師制度創設時の状況とは大きく異なっている。さらに、医療施設によっては、看護師と准看護師の業務内容の違いが明確になっていないことや処遇の違い等の問題、医療の高度化や専門化、社会情勢の変化に伴い、より質の高い看護、自律した判断ができる看護職を求める声が強まっているのに対し、准看護師の養成カリキュラムではこれらに対応しきれなくなっているという主張から、日本看護協会は、看護師制度を一本化するために准看護師養成の廃止に向けた取組みを展開している。一方、日本医師会は、地方・僻地(へきち)や診療所等での看護師確保が困難であること、これまで同様に看護師、准看護師、看護補助者という構造が最適であるなどの主張から准看護師養成の廃止には反対している現状があり、准看護師養成制度の廃止、看護師制度への一本化にはいまだ至っていない。