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バラ科(APG分類:バラ科)の落葉高木。オオシマザクラとエドヒガンの雑種で、明治初年に東京・染井(現在の豊島(としま)区巣鴨(すがも)付近)の植木屋から売り出されたサクラである。初めはヨシノザクラとよんでいたが、奈良県吉野山のヤマザクラと混同されやすいので、藤野寄命(帝室博物館員)によりソメイヨシノと名づけられた。4月の初め、葉の出る前に、径3~3.5センチメートル、淡紅白色の花が開き、各地にもっとも広く植栽され、花見の主体になっている。花弁は広楕円(こうだえん)形で頂部に切れ込みがあり、萼(がく)と柄には細毛が多く、花柱には開出毛がある。葉は互生し、楕円形または広倒卵形、長さ約8センチメートルで先は鋭くとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)があり、裏面と葉柄には細毛がある。果実はまれにつき、5~6月に赤紅色から紫黒色に熟す。ミシマザクラ、アマギヨシノなど近縁の品種もつくられ、北アメリカでソメイヨシノの実生(みしょう)から選出した品種アメリカはアケボノともよばれ、淡紅色の花をつける。