一般に数人の者が一つの物を共同に所有する状態、いわゆる共同所有をさすが、厳密には、そのような共同所有のうち、団体的拘束の強い「総有」や「合有」といわれる型のものを除いた、比較的個人的色彩の強い型のものをいう。民法ではこれを普通の型としている(249条~264条)。共有関係は、複数の者が1軒の家を買った場合など、お互いの意思表示で発生する場合と、法律の規定に基づいて発生する場合(たとえば、他人の土地から、壺(つぼ)を掘り出したとき、その所有者が不明である場合には、その壺は土地所有者と発見者の共有になる)とがある。
共有とは、一つの物全体のうえに数人の者が等しく所有権をもっていて、どこまでがだれの部分と決められない状態である。そして、共有者が共有物のうえにもつ権利は持分(もちぶん)あるいは持分権とよばれ、共有者間ではその持分の割合が決められる。その割合は、共有者の意思表示によって、あるいは法律の規定によって定まる。民法はその割合を等しいものと推定する(たとえば、3人が同額を出し合って1軒の家を買った場合には、おのおの3分の1ずつとなる。民法250条)。
共有者は、その持分の割合に応じて共有物全部を使用することができる(同法249条1項)。ただし、共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還しなければならない(同法249条2項)。また、共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない(同法249条3項)。共有物は、共有者にとっては自己の物ではあるが、他の共有者との関係では、他人の物を使用することになるからである。そして、各共有者は、共有物の管理費や税金などもその持分に応じて負担する(同法253条1項)。
共有物の管理は、原則として各共有者の持分の価格に従い、共有者全員の持分の過半数で決める(共有物の利用方法、改良行為など。同法252条1項)。しかし、共有者の一部に、①所在等不明共有者(必要な調査を尽くしても氏名等や所在が不明な共有者)がいる場合や、②共有物の管理に関心をもたず、連絡をとっても明確な返答をしない共有者がいる場合には、共有者の持分が過半数に及ばず、共有物の管理についての決定ができないことがある。そこで、2023年(令和5)施行の改正民法では、①の場合に対処するため、所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数により、管理に関する事項を決定することができるものとした(同法252条2項1号)。また、②に対処するため、賛否を明らかにしない共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、その共有者以外の共有者の持分の過半数により、管理に関する事項を決定することができるものとした(同法252条2項2号)。なお、共有物の現状を維持しようとする保存行為(たとえば、共有物を勝手に使っている他人に対して所有権に基づき妨害の排除を請求するなど)は、各共有者が単独でもできる(同法252条5項)。
これに対して、共有物自体を処分したり変更したりする場合には全員の合意を必要とする(同法251条)。しかし、この点についても、所在等不明共有者がいる場合には、その所在等不明共有者の同意を得ることができず、共有物に変更を加えることに共有者全員の同意を得ることができなくなる。そこで、改正民法では、所在等不明共有者がいる場合には、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により、共有物に変更を加えることができるものとした(同法251条2項)。
また、共有者はいつでも共有物の分割を請求することができる。分割しないという契約をすることもできるが、その契約も5年を超えることはできない(同法256条)。分割は共有者全員で相談のうえで決めれば、どのように分けてもよい。現物で分割しても、売却して代金を分けてもよく、あるいは、1人が現物を取得し、ほかの者には価格の一部を与えることもできる。分割の請求に対して、ほかの共有者たちが応じなかったり、分割の方法について意見が一致しなかったりした場合には、裁判所に訴えて分割してもらうことができる(同法258条1項)。この場合において、裁判所は、次の方法により、共有物の分割を命ずることとなる。すなわち、①共有物の現物を分割する方法(現物分割)、または、②共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法(賠償分割)である(同法258条2項)。そして、この二つの方法により共有物を分割することができないとき、または分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる(競売分割。同法258条3項)。なお、民法は、裁判所が、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払い、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができるものとし(同法258条4項)、賠償分割を行う際の、共有者の債務の弁済を確保する措置を明記している。分割が終われば、そのときから、各共有者は自分に割り当てられた部分の単独の所有者となる。共有者は、持分権を他人に譲渡することができる。そして、改正民法では、所有者不明土地問題に対処するため、共有者が、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者の不動産の持分を取得することができるものとした(同法262条の2第1項)。また、裁判所の決定によって、申立てをした共有者に、所在等不明共有者の不動産の持分を譲渡する権限を付与する制度を創設した(同法262条の3)。