目に見える光の波長領域(可視光)に続き、その短波長側にある電磁波。可視光に対して、紫色の光より外側にあるため、紫外線とよばれる。紫外光またはUVともいう。さらに短波長の電磁波である軟エックス線との境界は、はっきり決まっていない。
波長範囲は、およそ10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)から380ナノメートル程度であるが、分野によっても波長範囲や分類の仕方は多少異なったり、重なったりする。1801年、ドイツの化学者J・W・リッターが、太陽光スペクトルで紫の外側(短波長側)に、塩化銀をより強く黒化させる力をもつ光が存在することを確認し、紫外線を発見した。
一般に電磁波は波長が短いほど量子としてのエネルギーが高く、紫外線は可視光では生じない各種の化学反応を引き起こし、人体に対しても目や皮膚などに悪影響を及ぼす。地上に届く太陽光のうち5~6%のエネルギーを占める。
半導体集積回路製造のための微細加工には、光露光技術が用いられるが、光の波長が短いほど微細な加工が可能となるので、紫外線がおもに用いられる。
紫外線の発生には、各種のランプ、レーザー、発光ダイオード(LED)、放射光、プラズマなどが用いられる。
およそ200~380ナノメートルの波長をもつ紫外線。一般的に紫外線とよばれるのは、この範囲である。近紫外線とそれに近い波長の電磁波は、さらに以下の三つに分けられる。
波長315~400ナノメートルの紫外線。肌の老化を引き起こすとされている。地上に届く太陽光の紫外線のうち、約90%を占める。いわゆるブラックライトは、この波長範囲の紫外線を発する電灯であり、蛍光物質を発光させるなどの作用がある。
波長280~315ナノメートルの紫外線。地上に届く太陽光の紫外線のうち、10%程度を占める。白内障や日焼け、皮膚がんを引き起こす。
波長100~280ナノメートルの紫外線。人体には非常に危険であるが、地球上空のオゾン層によって吸収されるため、地上には届かない。波長265ナノメートル付近の紫外線はDNAに吸収されやすいため、殺菌やウイルス除去に用いられる。従来、水銀ランプから出る波長253.7ナノメートルの紫外線が広く用いられてきた。しかし「水銀に関する水俣(みなまた)条約」により、一般照明用の水銀ランプは2021年から製造・輸出入が禁止されているため、規制対象外の殺菌など特殊用途のランプについても、発光ダイオードによる置き換えが進んでいる。
波長10~200ナノメートルの紫外線。遠紫外線ともよばれる。空気中の分子によって強く吸収されるので、取り扱いには、大気を排除し真空にする必要がある。ArFエキシマレーザーから出る193ナノメートルの紫外線は、半導体微細加工に用いられる。
波長10~120ナノメートルの紫外線。極紫外線ともよばれる。高温高密度のプラズマによって発生させられる。13.5ナノメートルの極端紫外線を使うEUV露光装置は、最先端の半導体微細加工に用いられる。