公的医療保険制度の適用範囲外の診療。保険外診療、保険給付外診療、自費診療ともいう。医療保険が適用される診療は保険診療あるいは保険適用診療とよばれ、治療費や看護料に限らず使用薬剤に至るまで保険適用範囲が細かく規定されている。年齢や所得によって異なるが、患者は診療にかかった費用の1~3割を負担する。一方、自由診療では、保険適用外の先進医療を受けたり、保険適用外の新薬を使用したりできるが、診療報酬に法的制限はなく医療機関が独自に決めることができ、その費用の全額が患者の負担となる。また保険診療と保険外診療を同時に受けることを混合診療とよび、従来の保険制度ではこれにかかる費用は保険診療で生じた医療費も含めてすべて患者の負担となっていた。
しかし、先進医療の進歩は著しく、患者が高額な医療費負担に苦しむケースも増えてきたため、厚生労働省は2006年(平成18)より混合診療の一部を保険適用とする保険外併用療養費制度を整備し、運用を開始した。この制度では保険診療は通常のように医療保険が適用され、保険外診療のうち「評価療養」および「選定療養」として保険適用が認められた診療にかかる費用の基礎的部分が、保険診療として医療保険から給付される。「評価療養」とは、先進医療や高度医療および医薬品医療機器等法(旧、薬事法)で承認されているが保険適用以前の医薬品・医療機器の使用などをいい、「選定療養」とは、差額ベッドや大病院の初診・再診など患者自身が選んで受ける医療をいう。保険診療には従来より、患者負担上限額を定めた高額療養費制度が適用されるため、患者の医療費負担は二重に軽減されることになる。