病院等に対し、自施設の医療機能に関する情報を都道府県知事に報告することを義務づけるとともに、報告を受けた都道府県知事は、その情報を住民・患者に対し、わかりやすい形で提供するという制度。住民・患者による病院等の適切な選択を支援することを目的としているもので、第5次医療法改正(2006年6月公布)により導入された。医療法第6条の3に規定されている。
本制度が始まる前は、医療機関に関する情報の入手手段は、個々の医療機関の広告、医療機関のサイト(ホームページ)、院内掲示、雑誌の記事等のみであった。また、その内容も医療機関ごとにさまざまであり、客観性、信頼性、比較の容易性、わかりやすさ等の観点も含め、医療に関する情報を十分に得ることはむずかしい状況であった。
その後、医療法改正(2023年5月公布)を受け、都道府県の区域を超えた広域的な情報提供のため、都道府県ごとに個別に収集されていたデータを集約して全国の医療機関や薬局をさまざまな方法で検索できる医療機関等情報支援システム(G-MIS(ジーミス))および「医療情報ネット:ナビイ」が構築された(2024年4月)。
検索に指定できるおもな項目には下記のものがある。
(1)診療科目、場所(都道府県・市区町村、地図指定、鉄道路線、GPS現在地)、対応できる外国語
(2)現在診療中の医療機関、または休日夜間対応の医療機関の区分
(3)医療機能など(専門医・専門看護師等、オンライン診療対応、予防接種、在宅医療、セカンドオピニオン、介護サービス、支払い方法など)
(4)疾患・治療内容など(小児疾患等への対応、女性特有の疾患等への対応など)
(5)キーワード検索
インターネット上には医療機関に関するさまざまな情報があり、信頼性・客観性などが不明確なものも散見される。そのため国が統一的に情報提供することの意義は大きい。2024年(令和6)4月から運用が開始されたばかりであり、検索機能の実用性の向上、患者・利用者にとって見やすい表示(必要性の低い情報の非表示)、診療実績・診療成績の比較、患者からの評価(患者満足度)、スマートフォンからのアクセスしたときの使いやすさなどについて、今後の改善が期待される。