アメリカのプロ野球球団。ナショナル・リーグ所属(東地区)。フランチャイズをフロリダ州マイアミに置き、ローンデポ・パークを本拠地としている。球団名の変遷は、フロリダ・マーリンズ(1993)―マイアミ・マーリンズ(2012)。
ナショナル・リーグの球団数拡張が行われた1993年に新球団として誕生し、東地区に配属された。両リーグ3地区制となった翌1994年からも東地区所属。トレードやFA(フリーエージェント)で実績のあるベテラン選手を徐々に集め、ケビン・ブラウンJames Kevin Brown(1965― )とアル・ライターAlois Terry "Al" Leiter(1965― )の両投手が加入した1996年には3位となった。翌1997年は計8900万ドルを投じて大型補強を行い、ボビー・ボニーヤRoberto Martin Antonio "Bobby" Bonilla(1963― )、モイセス・アルーMoises Rojas Alou(1966― )という強打者らを加入させ、さらにピッツバーグ・パイレーツで名将とよばれた監督ジム・リーランドJames Richard "Jim" Leyland(1944― )も招聘(しょうへい)。ワイルドカード(リーグごとに各地区優勝チーム以外の最高勝率チームに与えられるプレーオフ進出の権利。2022年からは勝率上位3チームに与えられる)でプレーオフに進出、ディビジョン・シリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツを降し、アトランタ・ブレーブスにも勝ってリーグ優勝。ワールド・シリーズではクリーブランド・インディアンス(現、クリーブランド・ガーディアンズ)と対戦し、最終第7戦の延長11回裏にサヨナラ勝ちして「世界一」となった。ワイルドカードのチームがワールド・シリーズに勝ったのは、史上初めてであった。その年のシーズンオフから、財政的な理由で主力選手を次々に放出。1998年からは一転して、2年連続最下位となった。だが、若手を中心に戦力を再構築、2003年にふたたびワイルドカードでプレーオフに進出し、ワールド・シリーズまで駒を進めて、日本人選手の松井秀喜のいるニューヨーク・ヤンキースと対戦。4勝2敗で2回目の「世界一」に輝いた。その原動力となったのは、攻守にわたってチームを牽引(けんいん)したイバン・ロドリゲスである。2005年からは本拠地球場をプロ・プレーヤー・スタジアムからドルフィンズ・スタジアムに改称した。
2005年はなんとか勝率5割を超えたが地区3位にとどまり、続く2006年は4位、2007年は最下位に終わった。2007年のオフシーズンには財政的な理由からドントレル・ウィリスDontrelle Wayne Willis(1982― )、ミゲル・カブレラJose Miguel Cabrera(1983― )という投打の顔をデトロイト・タイガースにトレードで放出。2010年から10年連続負け越しと長期低迷期に入った。だが、その間に新球場マーリンズ・パークが完成し、2012年から本拠地球場をそこに移して球団名もマイアミ・マーリンズに改称した。2014年には5年目で初の本塁打王を獲得したジャンカルロ・スタントンGiancarlo Cruz-Michael Stanton(1989― )と総額で当時プロスポーツ史上最高額となる13年3億2500万ドルの大型契約を結んで話題をよんだ。スタントンは2017年に59本塁打で2度目の本塁打王となり球団史上初のリーグ最優秀選手(MVP)を受賞したが、高額の年俸がネックとなり、同年に球団を買収した、元ニューヨーク・ヤンキースのスター選手デレック・ジーターらが参加する新オーナーグループの判断で、2017年12月にニューヨーク・ヤンキースへトレードで放出された。新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)の世界的流行により、60試合の短縮シーズンとなった2020年に17年ぶりのポストシーズンに進出。2020年11月にはキム・アンKim Ng(1968― )が北米4大プロスポーツ史上初の女性のゼネラルマネージャー(GM)、および大リーグ史上初のアジア系アメリカ人のGMとして就任し、2023年にポストシーズン進出を果たしたが、本人の意思により2023年限りでGM職を辞任し球団を去った。2021年には本拠地球場をマーリンズ・パークからローンデポ・パークに改称している。
なお、日本人選手では、投手の田澤純一(たざわじゅんいち)(2017~2018)、外野手のイチロー(2015~2017)がプレーした。
1993年から2023年までの通算成績は、2241勝2609敗、地区優勝0回、リーグ優勝2回、ワールド・シリーズ優勝2回。