医療機関のない地域。厚生労働省が定めた「へき地保健医療対策等実施要綱(令和4年7月改正)」によると、無医地区とは、「医療機関のない地域で、当該地区の中心的な場所を起点としておおむね半径4キロメートルの区域内に50人以上が居住している地区であって、かつ容易に医療機関を利用することができない地区」とされている。
無医地区の数は2022年(令和4)10月末の時点で557地区であり、減少傾向にある(令和4年度無医地区等調査)。都道府県別の状況をみると、多い順に北海道、広島県、大分県となっている。無医地区となる要因については、医師の確保が困難であること、地理的条件、交通事情等により住民が医療機関を利用することが困難であることなどが考えられている。
また、無医地区ではないが、これに準じて医療の確保が必要であると都道府県知事が判断し、厚生労働大臣と協議した地区であって、同大臣が適当と認めたものは「準無医地区」とされている。
無医地区および準無医地区は、国が行う「へき地保健医療対策事業」の対象地域とされている。この事業は、僻地(へきち)における医療水準の向上を目的とするものであり、1956年度(昭和31)以降、計画期間を5年間とする「へき地保健医療計画」が策定され、「へき地診療所」における住民への医療の提供、「へき地医療拠点病院」等による巡回診療や代診医派遣、緊急時の輸送手段の確保や遠隔医療の導入、「へき地医療支援機構」の設置等、各種の施策が実施されてきた。
第10次へき地保健医療計画(平成18~22年度)から第11次へき地保健医療計画(平成23~27年度)までは、国で示した指針に基づいて都道府県が計画を策定してきたが、2018年度からは都道府県の「医療計画」に統合され、そのなかで5疾病5事業の一つとして、都道府県が一体的に検討を行うこととなった。「へき地保健医療対策検討会報告書(平成27年3月)」には、「地域医療支援センター」と「へき地医療支援機構」における医師のキャリア形成支援、「へき地医療拠点病院」の実績要件の検討などの意見がまとめられており、へき地・離島の住民への医療提供体制の充実が期待されている。また、へき地医療拠点病院の必須事業の一つである「オンライン診療を含む遠隔医療」の活用促進に向け、都道府県による導入支援が検討されている(第8次医療計画等に関する検討会資料。5事業について。2022年10月26日)。