高度の医療を提供する、高度の医療技術の開発および評価を行う、高度の医療に関する研修を行わせる、および医療の高度の安全を確保する、などの能力を有する病院として厚生労働大臣の承認を得た病院。医療法第4条の2に規定されている。
第二次医療法改正(1992)に基づき、医療提供施設の機能の体系化の一環として制度化された。2024年(令和6)10月1日時点で88病院が承認されている。内訳は、大学病院の本院79病院と、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、国立国際医療研究センター病院、国立循環器病研究センター、大阪府立病院機構大阪国際がんセンター、がん研究会有明病院、静岡県立静岡がんセンター、聖路加国際病院、愛知県がんセンターの計88病院である。
承認要件のおもなものは下記の事項である。
(1)高度の医療の提供、開発および評価、ならびに研修を実施する能力を有すること。
(2)他の病院または診療所から紹介された患者に対し、医療を提供すること
(地域医療機関からの紹介率50%以上、地域医療機関への逆紹介率40%以上)。
(3)病床数400床以上。
(4)人員配置(医師、薬剤師、看護師等、管理栄養士の人数が基準以上)。
(5)構造設備(集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室が必要)。
(6)医療安全管理体制の整備(医療安全管理責任者の配置、専従医師、薬剤師および看護師の医療安全管理部門への配置義務化、事故等の報告義務化等)。
(7)原則定められた16の診療科を標榜(ひょうぼう)していること。
(8)査読のある雑誌に掲載された英語論文数が年70件以上あること。
(9)第三者評価を受審し、審査状況および指摘を受けた改善策について公表すること、等。
なお、がん等の特定の領域に対応する特定機能病院(特定領域型)の場合は、診療科の標榜、紹介率・逆紹介率等について、別途、承認要件が設定されている。
承認要件については、厚生労働省「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」において継続的に検討されている。2015年(平成27)、重大医療事故を要因とする特定機能病院承認取消しの事案が相次いだことを受け、医療安全管理体制の強化、大学附属病院等のガバナンス(病院としての適切な意思決定を行うための管理体制等)の強化について検討が行われ、「医療の高度の安全の確保」が承認要件に加えられ、管理者の義務等も明記されることとなった。2021年には第三者評価の受審および改善策の公表についても要件に加えられている。2024年時点で、「特定領域型」の承認取扱い、大学附属病院本院からの医師派遣機能等が検討の論点となっている。