世界最大規模の民生用の先端技術・製品・サービスの見本市。初開催は1967年。主催は全米民生技術協会(Consumer Technology Association:CTA。旧、全米家電協会)。もともと家電中心のコンシューマー・エレクトロニクス・ショーConsumer Electronics Showという名称であったが、技術や製品の多様化を反映し、略称だったCES(しーいーえす)を正式名称とした。一般消費者向けではなく、取引業者限定で、世界の電機、情報・通信、自動車、住宅、小売り、生活・健康関連、食品、スポーツ関連などの企業はじめ、技術革新を先導するスタートアップ(新興企業)など4000社以上が参加。新技術の発表を行い、IT(情報技術)、AI(人工知能)、ロボット、ドローンなど最先端技術を活用した次世代消費財の行方を占う場となっている。また、企業間の技術提携や、大手企業トップによる経営戦略の発表の場でもある。これまでにCESで発表された製品・技術には、ビデオカセットレコーダー(VCR)、コンパクトディスク(CD)プレーヤー、3DHDテレビ、インターネットと接続するスマート家電やスマートホーム、身につけて使うウェアラブル端末、自動運転車、生成AI搭載機器などがある。
年2回(冬CES、夏CES)開催の時期もあったが、1995年からネバダ州ラスベガスを開催地とし、毎年1回、1月に開かれている(新型コロナウイルス感染症〈COVID(コビッド)-19〉流行時の2021年はオンライン開催)。2000年代初めには、それまで「COMDEX(コムデックス)」(Computer Dealers' Exhibition)が担っていたコンピュータ関連製品の展示機能を事実上吸収して規模を拡大した。パソコンや情報技術端末に関心が集まった1995~2008年には、開幕前夜に開かれるマイクロソフト会長のビル・ゲイツの基調講演が最大の呼び物だった。2010年代から韓国や中国の企業が巨大展示スペースを確保して存在感を示すようになり、2010年代後半には中国・上海(シャンハイ)で「CESアジア」が開かれたこともある。
なお類似見本市には、ベルリンで開かれるヨーロッパ最大の家電見本市IFA(Internationale Funkausstellung)があるほか、最近の技術革新を反映した商品・サービスを紹介する、テキサス州オースティンのサウス・バイ・サウスウェスト(SXSW:South by Southwest)、シリコンバレー発のテッククランチ・ディスラプトTechCrunch Disrupt、パリのビバ・テクノロジーViva Technologyなどが相次いで開催されるようになった。