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角膜の炎症をいう。原因は、細菌、ウイルス、真菌などの感染や、アレルギー、さらに物理的・化学的刺激によるものなどさまざまである。症状としては、多くは疼痛(とうつう)、流涙を訴え、さらに、まぶしくなり、結膜(白目)が充血して視力低下をきたし、症状の強いときはまぶたを開くこともできなくなる。
ヘルペスウイルスによる角膜炎は、木の枝状の潰瘍(かいよう)をつくり、角膜の知覚が低下するのが特徴で、ステロイド剤の乱用や軽い外傷によって誘発されることがある。再発も多く、病変が深部まで入ってくると角膜の混濁が残り、視力が低下する。治療にはアシクロビルなどの抗ウイルス剤を使う。アデノウイルスによる流行性角結膜炎のあとにも、点状の混濁が残ることがあるが、ほとんどは視力に大きく影響することはない。しかし、混濁が消失するのに数年かかることもある。細菌性の角膜炎は宿主の抵抗力が弱くなっているときにおこりやすく、異物の混入や外傷も誘因となる。初期から抗生物質の点眼、場合によっては全身投与も行う。まれに、角膜潰瘍となり、だんだん深部へ進んで角膜が穿孔(せんこう)し、全眼球炎となって失明することもある。光による角膜炎には、いわゆる電気性眼炎がある。雪山や海など紫外線の強い場所にいたり、電気溶接を見たりしたあとにおこる。強い眼痛、羞明(しゅうめい)(まぶしさ)、流涙を訴える。角膜の上皮がはがれて小さい点状の混濁が角膜全体に生じる。いずれの場合も、まずは眼科を受診し正しい診断を受けることがたいせつである。感染予防と疼痛のコントロールが必要になる。