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ビタミンAの欠乏でおこる角膜疾患。ビタミンA欠乏は、低中所得国においては乳幼児や妊婦の死亡を含めた健康障害をおこす最大級の原因であり、失明原因のおもなものになっている。ビタミンA欠乏により、眼瞼(がんけん)(まぶた)と眼球の表面を覆う粘膜である結膜がムチンをつくり出すことができなくなり、眼球乾燥症が現れる。角膜軟化症は、眼球乾燥症の重症化、あるいは急性悪化した形で現れ、ムチン欠乏による角膜乾燥症のために、角膜の混濁と角膜上皮欠損に感染を合併することで角膜潰瘍(かいよう)や角膜組織の壊死(えし)がおこり、角膜に穿孔(せんこう)が生じて失明に至る危険な状態である。潜在的な低栄養状態がある乳幼児においては、麻疹(ましん)(はしか)、下痢などにより体内のビタミンAが枯渇して急激な発症がおこりうることが指摘されている。治療には全身状態の改善、感染症の制御、ビタミンAの補給が行われる。