硬骨魚綱スズキ目アジ科アジ亜科に属する海水魚。北海道南部以南の太平洋沿岸、新潟県以南の日本海沿岸、沖縄本島、東シナ海、朝鮮半島南岸、台湾など太平洋、インド洋の熱帯・温帯海域に広く分布する。体は側扁(そくへん)せずにほとんど円筒形。上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下に達し、その後縁は上半部がわずかにくぼみ、下半分が丸く後方へ突出する。上顎には歯がなく、下顎には微細な歯が1列に並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)の前端と中軸、口蓋骨、舌上に細かい歯の歯帯がある。臀(しり)びれの前方に2本の遊離棘(きょく)があり、背びれと臀びれの後方にはそれぞれ1個の小離鰭(しょうりき)がある。背びれは2基で、第1背びれは8棘、第2背びれは1棘32~38軟条。臀びれは1棘26~30軟条。胸びれは小さく、その先端は第1背びれの中央部下に達する。側線の前半はわずかに湾曲し、湾曲部は直走部より長い。直走部の後ろ4分の3は稜鱗(りょうりん)(鋭い突起を備えた肥大した鱗(うろこ)。一般には「ぜんご」「ぜいご」ともいう)で覆われる。頭部背面の鱗は目の中央に達しない。体の背面は青緑色、腹面は銀白色。鰓蓋(さいがい)の上縁に小さい黒斑(こくはん)がある。背びれと尾びれは褐色、胸びれは灰色、臀びれと腹びれは淡色。黒潮と沿岸水の混合域を好む。水深30~170メートルの中層~下層域に生息する。オキアミ類、コペポーダ類、端脚(たんきゃく)類、翼足(よくそく)類、甲殻類の幼生などの無脊椎(むせきつい)動物のプランクトンのほかに、幼魚や稚魚なども捕食する。最大全長は約40センチメートルに達する。産卵盛期は6~7月。卵は分離浮性で、卵径は約0.6ミリメートル。巻網、棒受(ぼううけ)網、定置網、底引網などで漁獲される。旬は夏から秋にかけて。肉質は柔らかくてあまり喜ばれないため、塩干品に加工される。くさやの干物の原料にするが、クサヤモロより味は劣る。
体形、側線の直走部の稜鱗が全域を覆わないことなどでクサヤモロに似るが、クサヤモロは稜鱗が直走部の後ろ半分を覆うこと、頭部背面の鱗が目の中央部を越えることなどで本種と区別できる。