硬骨魚綱スズキ目アジ科アジ亜科に属する海水魚。相模(さがみ)湾、熊野灘(くまのなだ)、沖縄本島、台湾、南シナ海、トンキン湾などインド洋、西太平洋の亜熱帯・熱帯海域に広く分布する。体はやや側扁(そくへん)した紡錘形。眼径は吻長(ふんちょう)よりやや短い。脂瞼(しけん)(目の周囲や表面を覆っている透明の膜)は目の前半部を残してよく発達する。上顎(じょうがく)の後端は目の前縁を越えて後方に伸びる。下顎の歯は微小で、前部にのみ1列に並ぶ。上顎には歯がない。肩帯(けんたい)(胸びれを支える骨格系)の下部の鰓腔(さいこう)(えらが入っている空所)内に肉質突起がない。臀(しり)びれの前方に2本の長い遊離棘(きょく)がある。側線の前部は緩く湾曲し、後部の直走部よりも長い。稜鱗(りょうりん)(鋭い突起を備えた肥大した鱗(うろこ)。一般には「ぜんご」「ぜいご」ともいう)は小さくて20~33枚で、全直走部を占める。体の背面は青色、腹面は銀色。鰓蓋(さいがい)の上角に黒斑(こくはん)がある。幅の広い1本の黄色帯が目の上縁から尾柄(びへい)まで走る。各ひれは淡色で黄色味を帯びる。最大体長が約17センチメートルにしかならない小形のアジ類。沿岸の水深50メートル以浅の軟底層に大きい群れで生息し、小形の甲殻類や魚類を捕食する。雌は尾叉長(びさちょう)11センチメートルほどで成熟する。引網(ひきあみ)、底引網、刺網(さしあみ)などで漁獲する。春と秋に沖縄本島の湾内に多く見られる。
体側に黄色帯があることでメアジに似るが、本種は目が小さいこと、黄色帯が目の上部から始まること、肩帯の下部に突起がないことなどで容易に区別できる。