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昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。アフリカ、東洋の熱帯から亜熱帯、北アメリカ南部から南アメリカに広く分布するが、アメリカ大陸にはアフリカから二次的に入ったものである。日本では琉球(りゅうきゅう)諸島には土着しているものと認められるが、夏より秋にかけて九州以北で発見される個体は南方からの飛来、あるいはそれに基づく一時的発生によるものである。九州以北の地域では冬季の低温により越冬できない。はねの開張は60~80ミリメートル程度。雄のはねの表は黒色、前・後ろばねともに、その中央に円形白斑(はくはん)があるが、雌は雄とまったく異なり、はねの地色は橙(だいだい)色、前ばね先端の黒色部を横切る白帯がある。日本産のチョウではメスグロヒョウモンとともに雌雄異形の代表的な例である。雌の色彩斑紋は有毒とされるマダラチョウ科のカバマダラにたいへんよく似ており、それを擬態したものとされる。琉球諸島あたりでは年間にわたってみられ、連続的に発生するものと思われるが、日本本土で発見されるのは夏から秋にかけてで、この時期には日本本土でもスベリヒユ(スベリヒユ科)を食草として一時的に発生する。琉球諸島、台湾で判明した食草はスベリヒユ、外国ではそのほかヒユ科の植物を食べる記録もある。