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昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。日本では沖縄本島、石垣島、西表(いりおもて)島に分布、最近は沖永良部(おきのえらぶ)島にも定着するようになったが、これは人為的な放チョウによるものらしい。外国では台湾、中国(南部)から北インドにかけて分布する。はねの開張は70ミリメートル内外。はねの表面は濃青藍(せいらん)色、前翅(ばね)には橙(だいだい)色の幅広い帯がある。裏面は表面と異なり枯れ葉模様を呈するが、詳細にみればその枯れ葉模様にはさまざまな変化がある。はねの形も多くのチョウ類と異なり、前翅の先端はとがり、後ろ翅の先端部も葉柄状に突出する。はねを畳んだ状態ではその形、色彩はまったく枯れ葉そっくりで、擬態の好例として有名である。しかし、これが実際の生活上に擬態として効果があるかどうかについては疑問をもつ学者もある。琉球(りゅうきゅう)諸島ではこのチョウは成虫で越冬し、春から秋にかけて数回の発生を繰り返す。チョウは樹液、腐果などに飛来するが花にはこない。コノハチョウを集めるには「泡盛(あわもり)」を振りまけば効果があるという。幼虫の食草はキツネノマゴ科植物のオキナワスズムシソウ、セイタカスズムシソウなど。飼育の場合にはオギノツメでよく成育する。