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陶器に2種以上の色釉(いろゆう)を染め分けた加飾陶器の称。この色釉には低火度で焼ける鉛釉が使われる例が多く、習慣上、高火度釉を一器に数種かけ合わせても三彩とはよばない。鉄呈色で褐釉、銅呈色で緑釉、コバルト呈色で藍(らん)釉、そして呈色剤のない透明釉が三彩陶の基本の釉(うわぐすり)である。
中国では早くも前漢時代(前202~後8)に始源的な三彩が試みられ、六朝(りくちょう)時代末期の6世紀後半には、白色の胎土に透明釉をかけ、緑釉を垂らし込む唐三彩の技術母胎が完成し、唐朝に入った690年ごろから貴族趣味に合致した豊麗な唐三彩が熟成した。以後三彩は終始焼造され、宋(そう)三彩、遼(りょう)三彩、元(げん)三彩、明(みん)三彩、法花(ファーホワ)(ソーダ水を含む半強化釉を用いた特殊な三彩)などが系譜を連ね、明後期には磁胎に三彩釉を施す素(そ)三彩が流行した。また中国以外でも、この中国の技法を受けて、渤海(ぼっかい)三彩(渤海国)、新羅(しらぎ)三彩(朝鮮半島)、奈良三彩(日本)、ペルシア三彩(西アジア諸国)などが8~9世紀につくられた。