「すこい」は「すこいやつ」というように使い、「ずるい」を意味することばである。人の目をかすめて、こっそりと「ずるい」ことをする人に使われる。例えば、「あのひと、かっこええこというてはっても、いっつもすこいことばっかりしやはるし」、といった感じだ。江戸弁であれば、「こすい(狡い)」と、ほぼ同じ意味であろう。井原西鶴が江戸期の上方の町民生活を描いた一連の浮世草子においても、「すこひ」ということばが散見されるので、これ以前より庶民によく使われていたのだろう。

 人の悪賢さが「ずるい」を通り越し、欲深くなると「すじこい」ということば遣いに変化する。京ことばには、人の態度を言い表す、このような表現がいろいろあって面白い。よく知られている「いけず」は「いじわる」のこと。でも「いじわるな人」と言いたいときは「こんじょわる」とか「いけずっこ」という。ちょっとかわいらしくもある。「えげつない」は「あくどい」の意味で、「いじましい」は「意地汚い」ことをいう。「すかんたこ」とくれば、「いけすかないやつ」のことだ。逆に、賢くてよく気がつく人を「き(気)がはしる」などというのだけれど、あまり使われなくなっている。現代でまだ生き残っている京ことばには、褒めことばは意外と少ないように感じられる。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 日本では胃がんで亡くなる人が年間約5万人。胃がんの早期発見のためにはまだバリウム検査が一般的で毎年1000万人以上が受けているが、最近はこの検査の不確実性や危険性を指摘する声が多くなっている。

 『週刊ポスト』(11/13号、以下『ポスト』)でジャーナリストの岩澤倫彦(みちひこ)氏がバリウム検査を受けたために身体障害者になったり、死亡したケースをレポートしている。

 62歳の男性はバリウム検査を受けた翌日に、下腹を刺す痛みに耐えかねて病院に緊急搬送された。X線撮影の結果「バリウムが固まって大腸を圧迫し、孔(あな)が開いてしまった」ために緊急手術をしたが、身体障害者4級になってしまった。

 50代の女性はバリウム検査を受ける途中で気分が悪くなり、ソファにもたれているうちに痙攣(けいれん)を起こし、死亡してしまった。2つのケースともに、検査した医療機関は「バリウムとの因果関係がハッキリしていない」と責任を認めていない。

 岩澤氏は胃がん検診のためにすべての人がバリウム検査をするのは時代錯誤だと言い切り、「現在、バリウムを飲む専門医は皆無に等しい」と指摘する。

 2014年度の1年間だけでバリウム製剤で大腸などに孔が開いた「穿孔(せんこう)」は68例もあったそうだ。

 国立国際医療研究センター・国府台(こうのだい)病院の上村直実院長は「胃がんになる人の99%はピロリ菌の感染者」だから、全員一律に胃がん検診を受ける必要はないという。ピロリ菌感染の有無と、胃の粘膜萎縮の程度を示すペプシノゲン値を組み合わせた胃がんリスク検診をして、胃がんのリスクが高ければ内視鏡検査を受ける。ピロリ菌感染者には除菌治療を行ない、胃がん予防もしていくほうが効果的だというのである。

 こうしたリスク検診に変更してピロリ除菌治療で胃がん予防をすると、5年間で医療費が4200億円削減できるという試算もある。問題は、バリウム検査を重要な収入源にしている「検診ムラ」があることと、内視鏡の医師不足が挙げられるという。

 私も以前はバリウム検査をしていたが、今の主治医はバリウム検査は危ないと、血液検査だけで、何かあれば胃カメラを飲ませるやり方に切り替えた。

 私はまだ胃カメラを飲んだことはない。医者の技量にもよるが、慣れると胃カメラのほうが楽だという友人もいる。

 検査方法は日進月歩だが、健康リスクの目安である血圧や血糖値などの数値もさまざまな最新研究で変動しているため、医者と患者の間で軋轢(あつれき)が生まれている。

 『ポスト』は同じ号で「血圧は120以下に下げろ」という記事を載せている。

 これまでは血圧は140以内なら正常とされていたが、14年4月に日本人間ドック学会が「血圧147は健康」だと発表したことが大きな話題を呼んだ。

 あまりの反響の大きさに驚いた学会側が「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とトーンダウンした。

 今年9月にアメリカでは「血圧は120未満に下げたほうがいい」というセンセーショナルな研究が発表された。

 私は30代後半のとき、初めて血圧を測ってもらったら220あり、医者に降圧剤を飲めと言われて以来ずっと薬を飲み続けている。上は130、下は70で“安定”しているが、これでもいけないというのだ。

 発表したのはアメリカの国立心肺血液研究所というところで、50歳以上の心臓病や腎臓病などを発症する恐れのある高血圧患者約9400人を対象として、10年から13年まで実施された。

 降圧剤などを使用し、血圧を120未満に抑えたグループと140未満に抑えたグループを比較したところ、前者は後者より心臓発作や脳卒中の発生率が3分の1減り、死亡リスクは4分の1に下がったというのである。

 この数字に世界中が震撼した。日本人の成人男子の平均血圧は135.3、女性は129.5である。もし120まで正常値が引き下げられれば、日本人の大半が高血圧症と認定されてしまうのだ。

 だが、東海大学医学部名誉教授の大櫛(おおぐし)陽一氏がこう反論する。

 「この研究の対象者は一般の人ではなく、腎疾患または心血管疾患歴のある患者で、平均BMI(肥満度)が29.9という重度肥満群です。日本の成人でBMIが29.9を超える人は3%未満です」(『ポスト』)

 よって健診の基準や高血圧の人に対する治療目標にはならないという。まずはほっとひと安心というところだが、今度はWHO(世界保健機関)傘下のIARC(国際がん研究機関)から10月26日に「一定量の加工肉を摂取し続けると大腸がんや結腸がんを発症する可能性が高まり、さらに、赤身肉にも膵臓がんや前立腺がんの発症リスクがある」という報告が出たのである。

 『週刊新潮』(11/12号、以下『新潮』)によると、具体的には加工肉50グラムを毎日口にすると、発がん率が18%アップするというデータが得られたという。加工肉50グラムとはハムやベーコンなら2、3枚、市販のソーセージなら3本程度。

 「加工肉には、亜硝酸ナトリウムという発色剤以外に、調味と腐敗防止のために多くの食塩が用いられている。塩分の多量摂取が胃がんのリスクを高めることは、医学的にも実証されています」(日本食育協会の本多京子理事)

 赤身肉にも動物性タンパク質や脂肪をエサにしている大腸菌や黄色ブドウ球菌などの悪玉菌がいて、その働きによってアンモニアや硫化水素などの有害物質や発がん性物質が増加してしまうというのである。

 これにはソーセージ生産額世界一を誇るドイツや食肉生産大国であるオーストラリアなどが、食べ過ぎなければ心配ないとの声明を発表して、打ち消しに躍起になっている。

 『新潮』も、日本人の加工肉や赤身肉の摂取量は欧米人に比べて少ない、長寿の人間に菜食主義者はいない、肉にはウイルスや菌に対する免疫力を高めてくれるトリプトファンがふんだんに含まれているから、元気で長生きしたかったら肉を食べろという。

 これに関してはさほど神経質になることはなさそうだが、長寿の条件が『週刊現代』(11/21号)に出ていたので紹介しよう。90歳以上の健康な5人の食生活を調べたら、全員が酒はたしなむ程度と答えたそうだ。長生きする人に大酒飲みはいないそうだ。どの条件を当てはめてみても私は長生きはできないようだ。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 戦争の危機、日韓、日中の衝突、認知症の激増。日本には考えると嫌になるほど難問が山積している。それなのに政治家は一億総活躍社会などと寝ぼけたことを言って、目の前にある危機を見ようともしない。こんな世とは早くおさらばしたいと思っても、夜になると酒が恋しくなって、一杯飲むと憂き世を忘れる。こんな私も馬鹿なヤツでございます。

第1位 「『認知症老人』1000万人に! ニッポンの大ピンチ」(『週刊現代』11/21号)
第2位 「安倍晋三『朴槿恵の前で大失態』一部始終」(『週刊現代』11/21号)
第3位 「自衛官の『戦死』今そこにある危機」(『週刊朝日』11/20号)

 第3位。『朝日』の記事はこんな描写から始まる。

 「11月3日、航空自衛隊入間(いるま)基地(埼玉県狭山市)であった入間航空祭には、約20万人(主催者発表)もの航空ファンが詰めかけた。(中略)
 だが、祝祭ムードとは対照的に、会場の片隅に設けられた『自衛官募集』のブースだけは、人影がまばら。採用説明会のテントの下には空席のパイプ椅子が並び、迷彩服姿の担当者が手持ち無沙汰に座っていた」

 今夏、2015年度の自衛隊一般曹候補生(下士官)の応募者は前年度から約2割減り、過去9年間で最少になったという。
 安全保障関連法成立で自衛官が戦闘に巻き込まれるリスクが高まったことと関連しているのではないかと『朝日』は書いているが、当然であろう。
 しかも、危機はすぐそこまで迫っているのだ。自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に、来年11月の派遣部隊の交代時に、今回の法改正によって合法とされた「駆けつけ警護」を加えることが検討されているからだ。

 「『警護』といっても、実態は戦闘にほかなりません。2ケタ単位、最悪3ケタの死者が出ることもあり得る。(中略)自衛隊は諸外国の軍隊のように救急救命の制度が整っておらず、医師法や薬事法の制約で衛生兵による現場での治療や薬の投与も十分にできない。演習場の近くに治療施設のある普段の訓練時とはまったく状況が違うのに、命を守る備えができていないのです」(元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄氏)

 闇雲に法律を作ったため、肝心の細部を詰めていないから自衛隊員は戦地で自らを守ることができないというのである。
 さらに、戦地で自衛隊員が死んだとしても、戦死という言葉は使えず、靖国神社に合祀することもできない。
 そのために市ヶ谷の防衛省の敷地内に大規模な式典も行なえる慰霊碑地区(メモリアルゾーン)が整備され、これまでに事故などで殉職した1800人以上の自衛官の銘板が納められているそうで、ここに祀られる可能性が高いそうだ。
 日本の国を守るためではなく、米国のために日本も血を流さないと対等な立場になれないという理由では、自衛官が死を賭してでもという大義にはなり得ないはずである。
 公務中での死亡には遺族年金や、国から弔慰・見舞金が支払われる。現行では最高限度が6000万円だが、イラク派遣時には例外的に9000万円に引き上げられた。
 だが、死者が増えるとアメリカのように、戦死者の弔慰金が1200万円程度にコストカットされないとも限らないのである。
 さらに自衛官のほとんどが入っている「防衛省職員団体生命保険」は原則として、「戦争その他の変乱によるとき」は保険金が支払われないことになっているそうである。
 こうしたことも見直さずに、頼むから米国のために死んできてくれと言われても、わかりましたと行く自衛官がどれくらいいるのだろうか。
 否、どんなに「補償」が完備されたとしても、大義のない戦争へ自衛隊を行かせることなどあってはいけない。今すぐにでもこの法案を廃案にすべきである。

 第2位。『現代』は日韓首脳会談のときの安倍首相の“異変”について報じている。これが事実なら大スクープだと思うのだが、目次の扱いは小さく目立たない。どうしてなのだろう?
 それは安倍首相が朴(パク)大統領との少人数の首脳会談の席で起きたという。朴大統領が慰安婦問題で、韓国国民が納得のいく対応をとってほしいと述べた。次に真向かいに座る安倍が発言する番になった。

 「『ええ、わが国といたしましても……』
 安倍首相は、必死に語りかけようとするが、ろれつが回らなかった。
 韓国の外交関係者が明かす。
 『朴大統領と安倍首相の慰安婦問題を巡る応酬の中で、「異変」が起こったのです。韓国側の参加者の話によれば、安倍首相の顔はみるみるドス黒くなっていき、とても健常者には見えなかったそうです。
 安倍首相に不調が見られたので、横に座っていた岸田外相や谷内局長がフォローした』」(『現代』)

 それは故・中川昭一財務相が「酩酊会見」したときのようだったが、もちろん安倍首相は酩酊していたわけではなかった。
 やはり持病の潰瘍性大腸炎が悪化してきているからだろうか。このところ「夜の会合の最中に吐血した」(『文春』)、「官邸執務室で体調不良を訴え応急手当を受けた」(『ポスト』)という報道が目に付く。
 特にこの持病にはストレスが大敵である。日中韓の首脳会談は安倍首相に凄まじいストレスを与えたはずである。これが事実だとしたら、安倍首相念願の東京五輪を現役の首相で迎えることは不可能に近い。否、年明け早々の退陣もあり得るかもしれない。
 『現代』発売と同時に、安倍首相は同誌に抗議した。

 「安倍晋三首相は9日、同日発売の『週刊現代』に掲載された記事が『全くの虚偽』などとして、講談社の野間省伸(よしのぶ)社長らに対し、事務所を通じて記事の撤回と訂正、謝罪を求める抗議文を送った。誠実な対応がない場合は『法的措置も検討する』としている」(産経新聞11月10日付)

 『文春』や『ポスト』の記事には抗議したのだろうか。こうした報道が次々に出るということは煙があり火元があるということだ。今のところ『現代』編集部は「書いたとおり」だとしているそうだが、事実ならば徹底的に突っ張ってほしいものである。

 第1位。『現代』は、2025年に日本の認知症患者・認知症予備軍の数は合計1000万人を突破する、65歳以上の3人に1人、全国民の約10人に1人がボケるという人類の歴史上例を見ない事態が迫っていると巻頭で報じている。

 「10人に1人が認知症ともなれば、現在のような高い水準の介護・医療サービスをすべての人に行きわたらせることは、とうてい不可能と言わざるを得ません。財政破綻を避け、なおかつ現状の社会保障を維持しようとすると、現役世代の収入を9割以上召し上げなければならないからです」(元大蔵省主計官で政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏)

 厚生労働省関係者が言っているように、政治家も官僚たちも「もう、どうすることもできない」と気がついてはいるが、さじを投げてしまっているのが現実であろう。
 そして老老介護ならぬ認知症が認知症の面倒を見る「認認介護」が急増していくのである。
 最近、老人のドライバーが引き起こす自動車事故が頻発しているが、こんな事故はますます増え続けるに違いない。
 老人ホームでの認知症同士の争いや暴力沙汰が頻発し、SEXがらみの不祥事も、若者の特権ではなくなる。
 経済大国ニッポンから認知症大国ニッポンになるのだ。想像してみただけで恐ろしくなるではないか。だがそれはすでに始まっているのである。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 心残りのないように人生を終えるための活動、「終活」はすっかり有名になったが、誰もがパソコンやスマホを使うこの時代らしく、最近では「デジタル終活」なるものが注目を浴びている。

 ユーザーがこの世を去ったあと、パソコンの保存ファイルの中の画像やデータをいかに処分するか、という問題がある。遺族は当然にして、思い出の写真などを残しておきたいだろう。一方、旅立った本人にしてみれば、デリケートな情報の一つや二つはあるはず。ならば、他人様にさぐられるのはあまり気持ちがよくない。最近は遺族が専門の業者にデータ整理を依頼する事例が増えているが、できることならば、やはり本人が生前のうちにデータを整理しておく「デジタル終活」が重要なのだ。

 2014年から始まった「Yahoo!エンディング」は、利用者が亡くなったことが確認されると、利用者本人があらかじめ登録しておいたメールアドレスに自動的にメッセージが送信されるほか、ヤフーの各種サービスが停止され、Yahoo!ボックス内のデータも削除される。今後はこういったサービスが目立って増えていくことだろう。ネットユーザーの先達たちもそろそろ人生の黄昏を迎える。パソコン内の「遺品整理」で、あとから思わぬトラブルが起きぬように、意識しておくべきことは多い。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 2015年4月、全国に先駆けて兵庫県で自転車の利用者に、被害者への賠償を行う「自転車保険」などの加入が条例で義務付けられた。背景にあるのは、自転車事故の賠償責任の高額化だ。

 だれでも手軽に利用できる自転車だが、道路交通法上の軽車両にあたり、万一、他人を巻き込む事故を起こした場合は賠償責任を問われることもある。たとえば、小学生の男児(11歳)が、歩行中の女性(62歳)に自転車で正面衝突し、頭蓋骨骨折等による後遺障害を負わせた例では、9521万円もの高額な賠償命令が出されたのだ(神戸地裁・2013年7月4日判決)。

 こうした判例から、今後、自転車による損害賠償を補償する保険への加入義務化は広がることが予想されており、損害保険各社から新しいタイプの自転車保険が発売されるようになっている。

 だが、その補償内容は、商品によってさまざまだ。たとえば、ある民間損保会社では、損害賠償保険金1億円のほか、加入者のケガや死亡の補償もついて年間保険料は6000円程度。一方、保険料は3000円程度だが、加入者のケガや死亡の補償がメインで、損害賠償はついていないものもある。

 だが、自転車保険で重要なのは、被害者への損害賠償のほうだ。自分のケガの治療費は、公的な健康保険でカバーできるし、もしも民間の医療保険に加入していれば、そちらからも補償される。保険料の安さだけに目を奪われず、補償内容を比較して賠償額が1億円程度あるものを選ぶようにしたいもの。

 また、点検・整備が済んだ自転車であることを証明するTSマークが貼ってあれば、付帯保険もあり、自転車事故による法律上の損害賠償の補償を受けられる。賠償額は、シールの色によって異なり、青が最高1000万円、赤は最高5000万円となっている。ただし、近年の賠償額の高額化を考えると、TSマーク付帯保険だけでは不安な面もある。

 あえて、自転車保険に加入しなくても、車の任意保険や住宅の火災保険に、特約で個人賠償責任保険がついていれば、万一の自転車事故による損害も補償される。保険料は年間1000~2000円程度で、1億円程度の補償が受けられる。この他、クレジットカードのサービスとして個人賠償責任保険が付加されているものもある。

 損害賠償額が高額化している今、日常的に自転車に乗る人は万一の事故に備えて、保険には入っておきたいもの。そのときは、すでに加入している火災保険や自動車保険などの補償も見直した上で、できるだけコストを抑える方法を探してみよう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 韓国において、11月11日はたいせつな相手にお菓子を贈る「ペペロデー」だ。バレンタインデーなどと並ぶ位置づけである。「ペペロ」とは、韓国ロッテが販売している商品で、江崎グリコのポッキーと酷似している。ちなみに、その語源は韓国語で「やせっぽち」を意味する「ペペハダ」から来ているとか。

 ペペロデーは、1990年代に釜山の女子学生が友人同士でペペロを贈りあったことが起源とされている。「ペペロのように」背の高くスマートな女性になりたい、という願いを込めたものらしい。11月11日という日付は、数字の「1」を棒の形状に見立てたものだ。じつは日本でも、この日は「ポッキー&プリッツの日」なのだが、知名度は高いといえないだろう。だが韓国のペペロデーは人気イベントであり、現在ではペペロ以外のお菓子も含めた、一大商戦が繰り広げられている。

 これまでペペロは、わが国では「韓国におけるコピー商品の代表例」として紹介されることが多かった(もちろんメーカー側では否定している)。商品としての道義的な問題はさておき、最近はペペロデーの存在のおかげというべきか、比較的ポジティブに紹介される機会も増えているようだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 営業許可を受けず、マイカー(自家用車)を使ってタクシー営業している車のことを「自家用車タクシー」と呼ぶ。通称「白タク」とも言われる。「白」というのは白地のナンバープレートを意味しているらしい。ちなみに営業許可を受けた事業用自動車は緑地に白文字のナンバープレートが付いている。

 無許可のタクシー営業は、道路運送法により原則として禁じられている。

 ところが、である。2015年10月20日、政府の国家戦略特区諮問会議で安倍晋三総理(同会議議長)がこの「自家用車タクシー」について解禁に向けた検討を指示したのだ。戦略特区での限定解禁なのか、全国的に解禁するかどうか、2015年度中に結論を出す。

 安倍総理が白タク解禁を指示した背景にあるのは、公共交通機関が少ない過疎地ではタクシーが不足気味で、観光客や高齢者が不便をかこっている実情がある。また海外に比べ国内のタクシー料金が高いことも理由の一つだろう。外国人旅行客は日本のタクシー料金の高さに驚くことが少なくない。

 白タク解禁に向けた動きに対し、タクシー業界が反発するのはもちろんだ。同業界を所管する国土交通省も「安全性の確認や利用者の保護という課題がある」などと慎重な立場をとる。

 ただ、規制緩和で競争原理が働き、タクシー料金が安くなり、利用者からすれば利便性が増すのは間違いない。

 安倍政権は2016年の通常国会で関連法案の提出を目指す方向だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 フェイスブックなどのSNSに投稿された、幸せそうな結婚式の写真を見て、モヤモヤしたり、イラッとしたりする、とりわけ独身女性が襲われるというネガティブな心理現象のこと。“名付け親”は情報ポータルサイト『トレンド総研』なのだそう。

 同総研が、20代から30代の未婚女性500名を対象に調査を実施したところ、「婚テロ」の被害に遭った女性は27%。「すごく素敵で羨ましいけど、自分には程遠いからイラっとするし、見たくない」「あまり仲良くない子だと、幸せアピールがちょっとイライラする」といった声が紹介されていた。

 ちなみに筆者は、さすがにこの「婚テロ」、一つのニュースとして取り上げるのはいささか強引過ぎだろう、と訝しがっているクチだったりする。なぜなら、フェイスブックを代表とする幾多のSNSとは、本来が「誰でもその中では主役になれる自分自慢を目的とする」ツールだからだ。そして、“自分自慢”の最高峰にあるのは、もちろん一般的には「結婚」で、それを載せずになにを載せる? それくらいは暖かい目で見守ってあげるくらいの器量は持ち合わせていただきたい。それがどうしても嫌なら、そもそもSNSなんかに手を出すべきではないのである。

 たとえば、アナタがフェイスブックにせっせと投稿している美味しいカフェメシだとか、ハワイ旅行で撮ったきれいな海の風景だとか、ハロウィンの仮装だとかも、観る側からすれば“結婚報告”となんら根本は変わりないことをちゃんと自覚してもらいたい。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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