京都にはお盆(盂蘭盆)の火の行事がいろいろある。大文字焼きで知られる「五山の送り火」、北山(左京区)一帯で行なわれる松上げ、つくり花をつけた花笠の上の行灯に火を灯し、両手で動かしながら踊る久多(くた)花笠踊(左京区)などは特に有名である。

 このような行事は、火のもつ機能である精霊の送迎や供養などに関連し、いにしえからの深い思いを表したものといえる。以前の京都では、初盆などで供養の必要な家々にはいくつもの盆灯籠が吊され、軒先に連なる灯籠供養の様子を見物したり、灯籠の前で盆踊りをしたりするのが、お盆の風物詩であったという。その頃の灯籠は、枠を切り子の形に組んで、紙やつくり花などで飾りつけた切子灯籠と呼ばれるもので、昔は「灯籠売り」が、金(かな)灯籠や草提灯、行灯などを吊して売り歩いていたそうだ。現在は軒先に灯籠などを吊す家はほとんど見られなくなったが、そうした伝統は初盆にあたり親類縁者が、盆提灯や回転灯籠などを仏前に供える風習として受け継がれている。

 お盆に寺院などで行なわれる「万灯会(まんどうえ)」や「万灯籠」という行事は、このような灯火や灯籠をたくさん灯して先祖を供養する行事であり、その最たるものが「五山の送り火」であったと考えられる。「五山の送り火」の起源はわかっていないが、「妙」の文字を灯す山が「万灯籠山」、「船」を灯す山が「船形万灯籠」といわれていることなどから、灯籠行事から発祥したというのが定説になっている。


和紙に透かし模様を施した木枠の釣灯籠。昔から広く使われていた形状で、写真のものはお祭り用として残されていたもの。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 8月8日午後3時から天皇陛下がビデオで「お言葉」を10分間述べられた。「天皇が高齢になった場合、どのような在り方が望ましいのか、これまでに考えて来たことを話したい」として、現行の皇室制度には具体的に触れないとしながら、80歳を越えて「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と率直に国民に語りかけた

 天皇の位に就いてから28年間、国民の安寧と幸せを祈ることを大切にし、事にあたっては、人々の傍らに立ちその声に耳を傾け、思いに寄り添ってきた。また、遠隔地や島々への旅も天皇の象徴的行為として大切に感じてきたと続けた。

 そこには初めて象徴天皇として即位し、象徴として身を処することを常に考え行動に移してきた今上天皇の自負を、抑制された表現ながら伺うことができる。

 だが、そうした国事行為や象徴としての行為を年齢とともに行なうことが難しくなってきた。

 加えて2度の外科手術もあり、国事行為を減らすことを宮内庁が進言し、幾分かは減らしてきたが、それでも天皇・皇后の国事、公的などの行為は年に2000件を超えるといわれる。

 宮内庁はさらに行為を減じることを進言したが、それ以上縮小することは象徴天皇としての務めを果たさないことだと頑として聞き入れなかった。

 今回の「お言葉」の中ではこうした行為を「限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」と否定した。天皇が重病などでその機能を果たせなくなった時に、皇室典範にある摂政を置くことも、「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」と排している。

 また、昭和天皇が病に倒れ亡くなってからも長い間、日本中が沈みこみ派手な行事を慎んだことを念頭に、天皇の終焉に当たっては、「重い殯(もがり=日本の古代に行なわれていた葬儀儀礼)の行事が連日ほぼ二ケ月にわたって続き、その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が、一年間続きます」、それによって社会の停滞を招き、国民の暮らしにも様々な影響がおよぶことを懸念されている。

 そうしたことまで心配され熟慮を重ねた結果、そうした表現は使っていないが、生前退位して皇太子に位を譲りたいと“決意”されたようだ。

 こうしたことを表明されるのが「政治的発言」ととられることを懸念して、「憲法の下(もと)、天皇は国政に関する権能を有しません」と断りを入れ、国民に対して「理解を得られることを、切に願っています」と強い言葉で結んでいる。

 この「お言葉」が出されたきっかけは7月13日のNHK夜7時のニュースだった。なぜこの時間だったのか? YAHOO!ニュースで元宮内庁職員の山下晋司氏が、こう話している。

 「よく考えると、この方法しかなかったのかなと思いました。天皇は憲法上の立場から法改正を要求するようなことはすべきではありません。宮内庁も内々にはお伺いしていてもそれを『陛下のご意向』」として外部に出すわけにはいきません。しかし、陛下のご意向は伝えたい……。結果、今回のリークという形になったのかなと思いました」
 皇室に詳しいノンフィクション作家の奥野修司氏は報道した時間にも注目している。

 「19時のニュース。これは夜の報道番組や翌日の朝刊に間に合う時間です。これはNHK発ではありますが、全マスコミに報じてほしいという意図を感じました」

 こうした天皇の側近の意図を問題にするとんちんかんな人間もいる。朝日新聞8月9日付で憲法学者・北海道大学准教授の西村裕一氏は、

 「『天皇の意向』なるものを報道機関に伝えた人物がいるのでしょう。『天皇の意向』が皇室典範改正論議の引き金になった以上、当該人物による天皇の政治利用が問題となるだけでなく、この人物が宮内庁に属しているのであれば、天皇の発言をコントロールすべき内閣にも政治責任が発生し得ます」

 天皇の真摯な発言を、政治利用されているのではないかと邪推するなど、的外れである。

 また『週刊文春』(8/11・18号)は、ウルトラ保守派で安倍首相も所属している「日本会議」が猛反発していると報じている。

 「本当に、宮内庁は生前退位のスキームが整うと考えているのでしょうか。生前退位を実現するには、何はさておき皇室典範の改正などが必要。保守層の猛反発はすでに始まっています。陛下が法改正を伴う皇室制度の変更について『お気持ち』を述べられることを、『政治的なモメンタムを促すのはいかがなものか』と指摘している保守論客は多い。ハレーションは避けられないでしょう」(ベテラン宮内庁担当記者)

 保守メディア上では「皇室典範の改正を断固阻止せよ」という主張も始まっているようだ。その中心的存在は、会員数3万8000人といわれる「日本会議」の関係者たちである。「我々は、男系男子の天皇を支持し、女系天皇・女性宮家創設には反対です。昭和二十二年に旧典範が現行典範へ改められはしたが、万世一系の男系男子による皇位継承についてはしっかりと維持されてきたのです」(日本会議の関係者)

 日本会議の中枢の1人で憲法学者の百地章(ももち・あきら)・日本大学教授は、生前退位の「お気持ち」の表明は憲法に抵触する恐れがあると指摘する。

 「本来、天皇陛下の内々のご意見が外部に漏れたこと自体が問題ですが、仮に陛下のご意向によって、法改正に着手せねばならないとすれば、これは立憲君主制の否定です。日本国憲法第四条では〈(天皇は)国政に関する機能を有しない〉とされています。陛下のご意向は忖度(そんたく)すべきですが、国会や内閣が法的に拘束されることがあってはなりません。ましてや陛下に直接『お気持ち』を語っていただくなど、宮内庁の責任逃れだと言える」

 百地氏は典範改正ではなく摂政を置くことで事態の打開を図るべきだという。

 また日本会議で政策委員会代表を務める大原康男・國學院大学名誉教授は、「仰ぎ見る存在としての天皇こそ、有難いのだ」と説いているそうだ。戦前でさえなく、明治天皇の時代に戻そうというのだから、時代錯誤ではなく滑稽である。

 天皇の意向を知る千代田関係者はこう言っている。

 「国事行為の代行者たる摂政ではなく、行為をお譲りすることが、五十六歳を迎えた皇太子さまのご自覚を促すのに必要でした。また皇太子ご夫妻が両陛下となられ、万が一雅子さまが十分お務めを果たせないような事態が起きれば、さらに次代の秋篠宮さまに繋ぐことができる制度設計を、陛下は熟慮の末に思い描かれたのだと思います」

 新聞各紙の社説を見比べてみよう。保守派の産経新聞「主張」は、天皇が否定している摂政について、「運用を緩和することなども考えられる」とし、選択肢として検討する余地ありとしている。そして産経らしく「皇室の弥栄(いやさか)について、考えることが重要だ」とする。

 やはり保守派(一部からは疑義の声があるだろうが)の読売新聞の社説は意外にあっさりしている。「各種行事は、皇太子さまをはじめとする皇族方に委ねるなど、陛下のご負担を今より軽減する方策も考えられよう」と、まるで天皇の「お言葉」を聞いていなかったかのような書き方である。

 自発的な生前退位については「『国民の総意に基づく』という象徴天皇の位置付けと矛盾するとの意見がある」と否定的である。

 リベラル派の代表朝日新聞は、激戦地慰霊などの公的行為が増えすぎたのをいったん整理すべきだと、これも天皇の考えを無視するような書き方をしているが、「一連の事態は、象徴天皇制という仕組みを、自然人である陛下とそのご一家が背負っていくことに伴う矛盾や困難を浮かびあがらせた」とし、女系天皇も含め、落ち着いた環境の下で冷静に議論を進め「国民の総意」をつくり上げていくべきだと主張する。

 毎日新聞も、皇位継承について議論し、女性天皇は不自然ではないとしている。オランダやベルギーなどでは世代交代を理由に国王の退位が相次いでいることを取り上げ、他国の例を参考にしながら日本にふさわしい仕組みをつくれるか議論するべきだとしている。

 最もリベラルな東京新聞は、天皇のお気持ち表明は、天皇制や皇室のあり方についての問題提起だと捉えるべきで、女性・女系天皇を容認することも考えるべきだと強く主張している。

 「誇るべき内実は一系にあり、男系や女系ではないはずだ」(東京新聞)

 天皇が直接国民に語りかけた「お言葉」は、国民の大多数に好感を持って受け止められ、その後の世論調査でも生前退位を認めてあげたいという声が8割に上った。国民の総意は生前退位賛成なのだ。

 最後に私見を述べることをお許しいただきたい。今回の「お言葉」を“平成の玉音放送”などという向きがあるが、私は天皇による「平成クーデター」だと思っている。

 クーデターなどというと不謹慎だという誹りを受けるかもしれないが、言葉を変えれば“革命”である。

 天皇の「お言葉」のなかには何度も「象徴」という言葉が出てくる。思い出してほしい。天皇は即位の時こう宣言していることを。

 「常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たす」

 自民党は憲法改正を目論んでいるが、その草案の第一条は「天皇は、日本国の元首」である。

 今回天皇ははっきりと、象徴としての立場を明確にし、この機会に一気に憲法改正をしてしまえという安倍を含めた超保守派に、明確な「NO」を突きつけたのだ。

 さらに摂政も明確に否定することによって、一代限りの小手先のやり方ではなく、皇室典範の大幅な変更、そこには女系天皇を盛り込むことも入っていると、私は思っている。

 言葉は慎重に選んではいるが、天皇が仕掛けた一世一代の“大勝負”に、安倍たちウルトラ保守派は右往左往するばかりである。

 生前退位を可能にするためには皇室典範の改正だけではなく、多くの煩瑣なやるべき事柄があるが、政府も有識者たちとやらも、国民の総意は天皇のお気持ちを尊重するということだということを肝に銘じるべきだ。

 時間はそう多く残されていないかもしれないが、政府は天皇の意思を尊重し、すみやかに対処すべきである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 女の闘いは男よりも壮絶だといわれる。男のように、あきらめる、忘れる、水に流すということができないからではないか。ましてや自分の亭主を寝取った女に対する女房の怒りは、一生燻り続けて消えることがない。権力を握った女同士がにらみ合っているところへ、うっかり仲裁の手を出そうとすれば、2人から食い付かれるからよしたがいい。そんな世にも恐ろしい週刊誌記事を紹介しよう。

第1位 「自宅『新聞代』まで政治資金に付け回している『丸川珠代』トホホ」(『週刊新潮』8/11・18号)
第2位 「小倉優子夫と後輩アイドルの『ゲス不倫』撮った」(『週刊文春』8/11・18号)
第3位 「死亡19名の実名を隠した神奈川県警の『危険思想』」(『週刊新潮』8/11・18号)

 第3位。障がい者施設を襲って19人を刺殺した植松聖(さとし)容疑者(26)は「心神喪失のため無罪」になると事件を起こす前には考えていたようだ。そのために大麻をやっていたと思われるふしがある。だが、ヤツの思い通りになど絶対させてはならない。
 『新潮』は、この事件の被害者たちの実名を神奈川県警が発表しなかったことを「危険思想」だと批判している。

 「県警によれば、事件当日に19人の遺族全員を対象に個別の聞き取りをしたところ、全員が氏名公表を望まなかったとのことでした。障害者福祉施設での犯行という事情も勘案し、特例として非公表にしたというのです」(神奈川県警担当記者)

 だが、立教大学名誉教授の服部孝章(たかあき)氏はこう話す。

 「遺族によっては『闇から闇に葬られたくない』という方もいます。1人の人生が報道されずに時が経つことに違和感を持つのです。匿名か実名かについては各マスコミの責任であって、公的機関が決めるべき問題ではありません」

 障がい者を支援する団体からも疑義を呈する声が上がっているという。全国知的障害者施設家族会連合会の由岐透(ゆき・とおる)理事長がこう言っている。

 「警察の判断で名前を伏せたというのは、あまりに衝撃的な事件を前にして、知的障害者だからと勝手に忖度しているような気がしてなりません。どんな事件であれ、亡くなった人の名前や年齢は公表されるのに、この取り扱いはおかしいと思います」

 ジャーナリストの徳岡孝夫氏も、

 「言論の自由か個人のプライバシーかという問題は永遠のテーマではありますが、安否情報という観点からは報じる必要があるでしょう。また、いかに些細な事柄であれ、今回のように当局が一つ隠し始めると、隠すことへのハードルがどんどん下がっていくのです」

 神奈川県警は『新潮』の取材に「方針を変えるつもりはありません」と答えている。
 たしかに、警察が判断することではなく、メディア各々が自主的に判断すべきことだと、私も思う。このところ警察主導で、こうしたことがしばしば行なわれるが、大手メディアはなぜ黙っているのだろう。そこにこそ大きな問題がある。

 第2位。小倉優子(32)というママタレがいる。こりん星から来た不思議ちゃん系ロリータアイドルだったという。亭主は菊池勲(45)というカリスマ美容師。
 2人は11年に結婚して、翌年長男が生まれ、今は第二子がお腹にいるそうだ。そんな最中に亭主が「ゲス不倫」していたと『文春』が報じている。
 しかも相手は妻と同じ事務所に所属する女の子だというのだ。「不倫は文化だ」といっている石田純一もさすがに「妻の妊娠中はまずいでしょ」。お相手は癒し系グループ「ユルリラポ」の馬乗りならぬ馬越(うまこし)幸子という25歳のスレンダーな女性。
 2人が出会ったのは今年3月末。場所は都内のバー。

 「彼はガールズバーにも行きますよ。ゆうこりんの目を盗んではちょくちょく遊んでいる。ただ水商売系より素人の女の子が好きなんだそうです」(菊池氏の友人)

 記事中には三葉の写真が掲載されている。「7月7日、馬越の自宅から出てきた菊池氏」「自宅に戻る馬越」「7月28日は2人で一緒に出てきた」。馬越の長い脚がなかなかいい。
 7月28日、馬越と一緒にマンションを出て、一人で駐車場方向へ歩き出した菊池氏を『文春』が直撃。
 直截に「不倫関係では?」と突っ込むと、

 「してないしてない、してないっす。正直全然です」

 部屋の中で6時間も何をしていたのか?

 「いや、普通に喋って。あとネットフリックス観ながら話して。例えば(妻と)喧嘩しちゃったりとかいう相談や愚痴をいえる友達の一人ではある。うちの(妻)ともタイプが違う感じで」

 ちょっと時間つぶしに来ただけと言い、

 「もちろん帰って(小倉に)言いますけど。『文春さんが来て』ってのはもちろん。怒られる覚悟ではいますけど」

 だがその日は小倉に言い出せず、30日に小倉のマネージャーと3人でいるときに切り出したという。

 「“ゲス不倫”の概要を説明すると小倉は大粒の涙を流し、声を荒らげたという。そして夫の携帯を掴み、部屋の壁に投げつけた。『今は一人にさせて』」(『文春』)

 だが、小倉は夫をホメながら操縦する「プロ妻」だそうだから、自分のブログでこう書いている。
 「この話を聞いて、凄くショックでしたし、主人に腹立たしい気持ちでいっぱいでした」としながらも、「今後のことは、大切な子供達の事を第一にゆっくり考えていきたいと思います」とし、「ただ主人もたくさんの方々から大変なお叱りをいただき、これまでに無いほどの反省をしております。
 私も冷静になり、今後の結婚生活を見つめ直すいいきっかけにしたいと思います」と大人の解決を選択したようだ。
 一方、馬越のほうはプロダクションから契約を解除されてしまったという。やはり妻は強しである。

 第1位。東京五輪担当相に丸川珠代氏(45)が据えられた。五輪の経費を見直すと言っている小池百合子新都知事との女のバトルは見物だが、『新潮』で舛添並みのセコさが報じられ、こちらも前途多難のようだ。
 『新潮』によれば、丸川議員は2つの政治団体の代表を務めている。そのうち奇っ怪なのは政党支部である「自由民主党東京都参議院選挙区第4支部」(主たる事務所=新宿区四谷)だという。
 第4支部の政治資金収支報告書(平成24~26年)に添付された領収証を『新潮』が取り寄せると、ある新聞代金に目が行ったそうだ。

 「第4支部では、平成25年1月から26年11月まで日経新聞を購読し、毎月約4300円以上を支払っている。ところが、この領収証に記された販売店は、港区麻布十番。事務所のある新宿区四谷からは程遠い」(『新潮』)

 販売店に聞いてみると「うちの配達範囲はこの近辺に限られる。特別に四谷に配ることはありえません」と答えている。
 領収証に記された届け先は港区白金のマンションの1室。丸川氏の自宅と一致するのだ。つまり、彼女は自宅購読の日経を政治資金で賄っているというわけなのである。
 また、四谷の事務所も怪しいという。

 「請求書に毎月記載されている上下水道の使用量は3年間ずっと0立方メートル。基本料金しか支払っておらず、電気代も最安で1672円、最高でも3017円に留まる。(中略)
 確かに、現在のこの事務所を訪れてみると、表札もインターホンも設置がない『幽霊部屋』。にもかかわらず、この第4支部からは毎年、電話代やタクシー代、パスモチャージ代など、1000万円以上の金が支出されているのである」(同)

 このやり口は過去に蓮舫議員はじめ何人もの政治家が批判されてきたものである。「それを未だ行うとは、ずいぶん脇が甘いですよね」(政治部デスク)
 これじゃ私の相手にならないと、小池知事は嘯(うそぶ)いているかもしれない。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 今年の春は女子のあいだでスカジャンに人気が集まった。ヤンキー風の辛口アイテムと見られがちだが、かわいいスカートなどとあわせることで、驚くほどガーリーな装いになる。この流れで、「スカT」なるアイテムが夏のブームとなった。スカジャンのごとく派手な刺繍をほどこしたTシャツのことだ。たとえば龍などのデザインであっても、スカジャンほど前面に出ることがなく、あくまでポイントが強めという感じ。夏のコーデとしては着回ししやすいだろう。

 ショップへ行くと、Tシャツだけでなく、スカ刺繍の入ったキャップなどアイテムのバリエーションも豊富になっている。おそらくこうしたデザインに抵抗がなくなった理由は、夏のカジュアルファッションで「和テイスト」が人気となっていることの影響ではないか。スカジャンの柄は虎や龍、富士などタトゥー的な「和」のモチーフが多い。それがいまどきの若者のセンスとかみ合ってきているのだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 がんと診断された人のなかで、5年後に生存している人の割合。性別や年齢などが同じ日本人の集団と比べて、がんと診断された人の生存率がどのくらい低くなるかをパーセンテージで表している。100%に近いほど治療効果が高く、0%に近いほど治療が難しいがんと判断され、がんの治療成績を見るときの客観的指標として使われている。

 生存率は、1年、2年、3年、5年、10年で比較する方法があるが、がんの治療では5年生存率が使われることが多い。これは、がんは治療開始から2~3年以内に再発することが多く、5年過ぎても再発や転移がなければ、治療や経過観察を一区切りできる目安となっているからだ。

 抗がん剤などによる治療技術、検診技術の進歩によって、日本人のがんの5年生存率は年々改善されており、1997年の62.0%から、2015年は68.8%まで伸びている。ただし、がんの部位や進行度によって、かなりのばらつきがある。

 前立腺がんは100%、乳がんは92.9%、甲状腺がんは91.6%など、高い治療効果を示しているが、肺がんは43.9%、肝臓がんは34.8%、膵臓がんは9.1%(がん研究振興財団「がんの統計'15」より)。また、いずれの部位でも進行するほど、がんの5年生存率は低くなっていく。

 がんの5年生存率は、治療効果を見る指標なので、手術や抗がん剤治療などを受ける病院を選ぶときの目安としても使われている。ただし、早期がんや簡単な治療ばかりしている病院の生存率は高くなり、進行した重症患者を受け入れている病院は低くなる傾向にある。単純に数字だけで比べるのではなく、その病院がどのような患者を治療しているかを見た上で、治療成績を判断する必要があるだろう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 夏休みの時期に入り、カラダのラインを披露する機会も多くなった。ダイエットが間に合った人、また来年に期待という人、さまざまであろう。体型の悩みを抱える多くの人のあいだで、ブームの域をこえて定番になりつつある商品がある。いまやコンビニ各社で競合状態となっている、「サラダチキン」である。

 基本的には鶏の胸肉をやわらかく蒸しあげたものを指し、低カロリーで高タンパク。ブレイクのきっかけを作ったのはセブンイレブンで、2013年の発売当初はあまりの人気に品切れとなることも多かった。コンビニ各社が参入した現在では、安定的な供給がなされている。あくまで筆者個人の意見だが、他社の商品はなかなかセブンイレブン製品にかなわない印象だ。100gあたり105kcalという数値などを、他社の製品と比べてみるとよい。

 無理なダイエットでは、せっかく痩せても筋肉まで減少してしまう。もとより皮抜きの鶏肉(カロリーがもっとも高い部分は皮なのだ)はボディービルの選手も好んで食べる食材。一日の食事をサラダチキンで代替すれば、健康的な減量は可能だろう。とはいえ、そのうちに「飽きる」のも現実的なところ。野菜鍋に入れるなど、最近は「調理」の提案をするマスコミの記事も多くなっているようだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 土用の丑の日の定番、ウナギの蒲焼。これを食する人が最近、減っているという。理由は、ウナギの天然稚魚の漁獲量が激減し、養殖ウナギの価格が高騰していることがある。

 そうなると、バターに対するマーガリンのように、代用品の登場である。

 近畿大学は2015年11月13日、ウナギ風味のナマズ「近大発ナマズ」の事業化に乗り出すと発表した。同年に設立した養殖の新会社(鹿児島県)を拠点として、年間100トンの生産を目指している。今年の夏、その「近大発ナマズ」を使用したスペシャルメニューが東京と大阪の2店舗で限定発売、蒲焼も一部スーパーで市販された。

 「近大発ナマズ」は近大の有路(ありじ)昌彦教授が研究・開発した。ナマズは食用を目的に一部地方で限定的に養殖が行なわれているが、特有の泥臭さがあり、脂質もほとんどなく、表面のヌルヌル感は同じでも、ウナギの蒲焼の代用にはならなかった。

 「どうしたらウナギと同じような味を出せるのか──」

 有路教授は、実に6年間をかけて、餌の種類を選定し、養殖池の水についてもきれいな地下水を使うなど、工夫を重ね、ウナギ風味のナマズを開発した。

 近大によると、脂質は普通のナマズの3倍、カロリーは国産養殖ウナギより低くヘルシーという。気になる価格は、将来的にウナギの半分以下を目指す。今後、刺身やてんぷらなどに適したナマズも生産できるよう研究開発を進め、年間を通じて需要があるようにする。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 直訳すれば「デブになるために行なう活動」のこと。3年ほど前、女性ファッション誌『CanCam』が煽動していた「ぷに子(=ほどよくふっくらした女性)」ブームに今さら火がついたのか、と思いきや、「食欲に負けての大食いによって、過剰なカロリーを摂取してしまった“やらかし”を、(おもに若い女子が)自虐的に言い表す造語」であるらしい。つまり“女性の痩せたい願望”は、いまだ健在ということだ。

 筆者個人としては、女性と食事をする際「ダイエット中だから!」と、せっかく注文した皿に手もつけなかったりされたら一気に興醒めしてしまい、むしろ一緒に“やらかしてくれる”くらいのだらしなさを発揮してくれたほうが愛嬌もあっていいと思うのだが、女ゴコロとしてはそうもいかないという心理も、うっすらではあるが理解できなくもない。

 ただ、40代50代……と、それなりの年齢に達していながら、無理矢理なダイエットでギスギスに痩せてしまった女性は正直な話、脂までもが抜けきっており「貧乏臭い」と感じてならなかったりもする。

 タレントに例えるなら、(あくまで筆者の主観ではあるが)最近の黒木○とかが、その筆頭として挙げられる。逆に松坂慶子なんかは、いかにも「いいデブ活」をしてそうで、満ち足りた幸福な私生活までも勝手に想像してしまう。男性サイドが安易に口にする「もうちょっとぽっちゃりでもかまわないのに……」なんて“慰め”が、女性からすれば無責任かつ無神経な発言にしか聞こえないのは、重々承知ではあるのだが……。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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