中秋の名月が近づくと、ゆっくり歩きたくなるルートがある。千代の古道だ。松尾大社から日本三大名月観賞地の大沢池(嵯峨大覚寺)へと続く約2キロメートルの、平安貴族が嵯峨野遊行に通っていたという道である。

 古代に神聖な葬送の地であった嵯峨野には、丸く連なる山々と、広沢池や大沢池などの人工池が点在し、穏やかな光景が広がっている。それは嵐山にほど近いと思えぬような、のんびりとした里山であり、なにより大沢池や広沢池と名月という組み合わせが素晴らしい。池の水面を月がはしるその様子はとても綺麗だ。

 嵯峨天皇(809~823年在位)は、中国(唐)の洞庭湖を模して日本最古の林泉式庭園である大沢池を造らせた。名月の夜には、五大堂観月台から池越しに見える音戸山(おんどやま)に月が昇る。そして、広沢池では西に愛宕山(あたごやま)を背にしつつ、反対の東から大きな月の昇る様子が楽しめる。

 千代の古道という名称を、数多(あまた)の歌人が歌に詠んでいる。諸説あるようだが、在原行平(818~893)が最初だとされている。

 「さがの山 みゆき絶えにし 芹川(せりかわ)の 千代のふる道 跡はありけり」(後撰和歌集)。

 藤原定家(1162~1241)は『新古今和歌集』で、

 「さがの山 千代のふる道 あととめて また露わくる 望月の駒」

と、詠んでいる。

 千代の古道の魅力は、往時を偲ばせるようなさまざまな文化財に出会うことができる点にもある。特に葬送地であるゆえに数々の古墳が散在している。運がよければ、私有地にある貴重な石室などの特別公開に出くわすこともある。また、前述の音戸山(別名・さざれ石山)は、嵯峨天皇が行幸の際に休息地としていた場所で、天皇は山頂にあった石に「さざれ石」と名づけた。この石が「君が代」を生んだ石であり、いまもあるという。一目見たいものだが、いまは京都市管轄地で開放されていない。ぜひ公開して欲しい。


広沢池越しに望む音戸山(写真中央)。広沢池は古くから農業用のため池として用いられてきた。日本三沢の一つに数えられる。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 劇団青年座所属の女優。声優からバラエティまで幅広くこなす。61歳。1980年代後半から東映特撮作品に出演し、なかでも『仮面ライダーBLACK RX』の悪役・マリバロンが当たり役となり女優として頭角を現していく。

 1995年から『3年B組金八先生』シリーズの本田知美先生役、『白い巨塔』の東政子役が評価され、舞台にテレビのドラマ、バラエティにまで進出している売れっ子である。

 舞台では読売演劇大賞・女優賞、同・最優秀女優賞、菊田一夫演劇賞・大賞を受賞し、平成26年には紫綬褒章(しじゅほうしょう)を受章している青年座の大看板女優でもある。

 彼女は2度離婚しているが、長女と長男・裕太(22)という2人の子どもがいる。

 裕太は母親の七光りで俳優になっていたが、とんでもないバカなことをしでかしてしまったのである。

 裕太は、前橋市のビジネスホテルで40代の女性従業員に性的暴行をしたとして、強姦致傷容疑で逮捕されたのだ。

 『フライデー』(9/9号)によると、映画の撮影で前橋市を訪れていた高畑はスタッフたちと居酒屋で飲み、さほど酔わずに一人でビジネスホテルSへ戻った。

 部屋から「歯ブラシがほしい」とフロントへ電話をかけ、件の女性を部屋に呼び無理矢理暴行したというのである。

 「Sは深夜になるとフロントスタッフは1~2名だけ。高畑容疑者は何泊かこのホテルに宿泊しており、被害女性のことも犯行前から目をつけていたようです。『企ててはいません』と供述していますが、犯行時に彼があまり酔っていなかったこともあり、県警は計画的な犯行の疑いも含めて捜査を進めています」(全国紙記者)

 高畑容疑者はバンドをやっていたそうだが、とてもそれでは生計は立てられず、母親は別の仕事を見つけるように日頃から言っていたという。

 すると今度は役者をやりたいと言い出した。そこで今の事務所に面倒を見てもらうことにしたそうだ。母親はテレビ局に出向き「バカ息子をよろしくお願いします」と頭を下げて回ったという。

 NHKの連続テレビ小説『まれ』で好演して注目され、バラエティ番組で活躍するなど人気俳優の仲間入りを果たしたばかりだった。

 これだけのご面相と俳優の肩書きがあれば、女の子など“手を叩けば”いくらでも寄ってきただろうにと思うのだが。

 ワイドショーなどで見る限り、2度離婚した高畑は、女手ひとつで2人の子どもを育てたが、特に長男・裕太とはかなり激しい母子の葛藤があったようだ。

逮捕された裕太容疑者に情け容赦なくメディアは襲いかかる。

 『アサヒ芸能』(9/8号、以下『アサ芸』)は、裕太が16歳の時、彼からSEXを強要されたという元劇団研究生Aさんの話を取り上げている。

 Aさんの知人が話をしたという作りになっている。その知人は『アサ芸』に対して、「Aさんの素性が極力わからないよう書くことを条件」にしたというのだが、『アサ芸』は「研究生だったAさんは、高畑淳子の『付き人』に抜擢された」と書いている。これでは誰のことか、劇団青年座の人間ならすぐわかってしまうと思うのだが。

 それはともかく、看板女優の付き人になったAさんが、09年秋に高畑淳子が出演していた舞台の楽屋にいるとき、裕太が現れ、ラブホテルに来いと強引に誘われたという。

 Aさんは、高畑の付き人をしていれば役がもらえるかもしれない、役者として生きていきたいという思いが強く、その息子である裕太の誘いを断れなかったという。

 それに味をしめ、その後も裕太はホテルへ彼女を呼び出し何度もSEXを強要したというのだ。その噂が母・淳子の耳に入った。たしかにAさんのほうが年上ではあるが、普通そうした場合は息子の責任も問うべきだ。しかし高畑は一方的に彼女を「うちの裕太をたぶらかさないでください!」と叱責したそうだ。

 『週刊新潮』(9/8号)、『週刊文春』(9/8号、以下『文春』)は、裕太が学生時代、母親のモンスターペアレントぶりがすごかったと書いている。

 『文春』によると、母親自身も「性欲が強い」と公言してはばからず、研ナオコやピーターたちと歌舞伎町の老舗ホストクラブへ足繁く通っていたという。

 また、高畑淳子はドラマや映画だけではなく、最近はバラエティにも出演するなど仕事が激増し、トップタレントの仲間入りを果たした。

 青年座では西田敏行が抜けたため、劇団の役員にも就任して「青年座の女帝」と呼ばれるようになっていたそうである。

身内が事件を起こすと、これまで秘されていたことまでメディアは次々と暴いていく。

 裕太は2度目に結婚した一般男性との間に生まれたと言われていた。だがそうではなく、高畑が結婚している間に“不倫”していた俳優との間にできた子どもだったのだ。

 その相手は、ドラマ『相棒』などで知られる俳優・大谷亮介(62)で、本人も裕太が息子であることを認めている。

 「高畑は、二人目の配偶者と別居後、大谷氏と五年半の事実婚関係にありました。裕太が幼少の頃、大谷氏が学校行事などに参加したことはありましたが、大谷氏が別の女性と結婚されてから交流はありません。大谷氏は裕太を認知しています」(劇団青年座)

 事件後の8月26日、高畑は謝罪会見を開いた。

 記者から、息子・裕太は以前からやってはいけないことをやる危うさがあったのかと聞かれ、

 「それは…思春期とか、そういう時代に……あったかもしれないですね」「日常生活がきちんと、例えば仕事の前はきちんと寝るとか、不安な要素はありました」

と、息子の行動に以前から不安を覚えていたと話した。

 しかし拘置所で息子と面会してこう言ったという。「でも私はどんなことがあってもお母さんだからね」。そう明かし、号泣した。

 1時間以上におよぶ会見の間中立ち続けた高畑は、控え室に入った途端崩れ落ちたという。

 私はこの会見をテレビで見ていて、名女優・三益(みます)愛子の「母もの」映画を思い出していた。三倍泣けますというキャッチフレーズで大ヒットし、このシリーズは33本も作られた。

 幼いときに離ればなれになったわが子を探していく主人公。会えたかと思うと、わが子から邪険にされ、それでも泣きながら子どもにすがる日本の母親の原型に、日本中が涙したのである。

 高畑が三益を意識したかどうかは知らない。だが、親不孝な息子でも子どもは子ども。日本中を敵に回しても、この母が命をかけて守ります

 当座CMや舞台はなくなっても、高畑はお茶の間が受け入れることであろう。嫌な言い方になるが、そこまで考えて高畑は“一世一代の名演技”をしたのだろうか?

 『文春』は事件後、高畑淳子が友人に送ったメールを掲載している。そこにはこう書かれていたという。

 「これからないことを書かれたり、報道されたりするのだと思います。おかしな事件だと思っている方々もいますが、今は、会見をまずして、黙る。これが最善のようです」

 会見は十分計算されたものだったのではないか。

 降板を受けて、裕太や彼女に対する「違約金」が発生するかもしれないと言われるが、高畑は現在渋谷区に豪邸を建設中で、他の土地、建物を合わせると資産はゆうに5億円は超えると『文春』が報じているから、心配はないのだろう。

 最後に、三田佳子、みのもんたの例を挙げるまでもなく、いい年になった子どもの不祥事のたびに、親が会見を開かされ、謝罪し、記者からの心ない質問に答えるという「お約束事」には、いつ見ても違和感がある。

 みのもんたが、窃盗未遂で逮捕された次男について、記者会見で「30過ぎて子どもがいる男に、親が責任をっていうのはいかがなものか」といって、メディアから散々叩かれたが、それが正論であろう。

 だが日本では「それを言っちゃあおしめえよ」とメディアと世論なるものが「寅さん」になって襲いかかってくるのだ。

 ビートたけしが『週刊ポスト』(9/16・23号)で、大人の犯罪は責めを負うのは当人だけでいいと思うが、子どもの犯罪、今回の埼玉県東松山市の河川敷で16歳の少年がリンチ殺人されたケースでは、親の責任が問われるべきだと言っている。

 私も親の責任は問われるべきだと思うが、ネット社会になると、エセ正義を振りかざした悪意の塊が、住所から親の顔写真までネットに晒しかねない。

 それでは責任を問うのではなく集団リンチになりかねず、そこで思考停止してしまうだけである。

 裕太容疑者のケースも、あまり騒ぐと被害者がセカンドレイプされることになる。ここは静かに取り調べ、裁判の行方を見守りたい。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 よく人は「あの人はついている」「あの人はついていない」という。それでいくと夏目三久(みく)という女子アナは「ついていない人」のそうとう上位に入るかもしれない。
 日テレの女子アナとして期待されていたのが、スキャンダルで辞めざるを得なくなった。フリーになって順調にスターの階段を上がってきたかと思っていたら、お笑いタレントとの結婚話が流され、それも妊娠しているというのである。すわ結婚引退かと思われていたら、事務所の社長が事実無根だと騒ぎだし、本人も完全否定。だが、この話にはまだまだ裏がありそうなのだ。だから週刊誌はやめられない?

第1位 「『夏目三久』交際報道は『小林麻美』ご亭主がひねり潰した!」(『週刊新潮』9/8号)/「夏目三久『妊娠・結婚報道』有吉弘行にドンは“怒り心頭”」(『週刊文春』9/8号)/「夏目三久と有吉弘行 付き合ってるのか?妊娠してるのか?」(『週刊現代』9/17号)
第2位 「『インサイダー』捜査中止を企てた『山本幸三地方創生大臣』の国会質問」(『週刊新潮』9/8号)
第3位 「現役ヤクザ100人世論調査『山口組分裂から1年、あなたのシノギは?』」(『週刊ポスト』9/16・23号)

 第3位。『ポスト』はときどきおもしろい企画をやる。今週の現役ヤクザ100人の世論調査も企画趣旨はいいが、返ってきた答えは、まあそんなところかなという内容なのが残念だ。
 フリーライターでヤクザに強い鈴木智彦氏が100人すべてに直接電話して聞いたそうだ。
 内訳は六代目山口組が31人。神戸山口組が16人。後はその他の組員のようだ。
 山口組の分裂で何か影響があったか? はいが59人。いいえが19人。
 山口組の分裂抗争はしばらく続くと思いますか? はいが85人。いいえは7人。
 山口組の分裂抗争以後、警察の取り締まりは厳しくなったか? はい67人。いいえが9人。
 経済活動(シノギ)は順調か? いいえ65人。はい17人。今後、暴力団は非合法化されると思うか? はい71人。いいえ17人。家族は不利益を被っていますか? はいが90人。
 ヤクザを続けるメリットはあるか? はいが39人。いいえが29人。どちらともいえないが30人。そうとう迷っているのが多いようだ。
 堅気(カタギ)になれるのなら引退するか? いいえ47人。はい16人。どちらともいえない34人。やめても食える場所がないというのが正直なところで、仕事があれば引退するというのは、ホンネでは多いのではないか。
 ヤクザの高齢化は深刻なはずである。若い奴らはしきたりだ上納だと、先輩風を吹かせる組には入らず、仲間と徒党を組んで暴れていたほうが気楽だし、女もこませる。
 美坊主のように、高倉健のようにカッコいいヤクザを集めて写真集でもつくったら、結構、入ってくる若い奴らがいるかもしれないが、警察が許さんだろうな。どこかつくってやるという出版社はいないかね。

 第2位。『文春』と『新潮』がともに山本幸三地方再生大臣(68)の過去の「国会質問」に問題ありと追及している。
 『新潮』のほうがくわしい。山本大臣は大蔵官僚から政界入りし、衆院当選7回でやっと大臣ポストを射止めた。
 アベノミクスの熱烈な支持者で、安倍首相のお気に入りだそうだ。
 簡単にことの経緯を記そう。三井住友銀行から日興コーディアル証券に出向していた吉岡宏芳・投資銀行副本部長(55)が、横浜市にある金融会社の加藤次成社長(71)に、自分の知り合いへの融資を依頼し、2000万円から5億円の融資がなされたが、暴力団と関わりのある人間ばかりで、ほとんどが焦げ付いてしまったという。
 加藤から責任追及された吉岡は、その代償としてインサイダー情報を流したというのだ。2011年、SESC(証券取引等監視委員会)が調査に乗り出し、告発を受けた横浜地裁が摘発して吉岡と加藤が逮捕された。吉岡は上告中だが、加藤は一審で懲役執行猶予付きが確定している。
 SESCが調査している渦中の12年3月5日、衆院予算委員会第一分科会で山本議員は、SESCのやり方を批判する質問を行なったのである。
 自分の知り合いに証券会社の部長(吉岡のこと)がいる。インサイダーの疑いでSESCに強制捜査を受けているが、彼は一切知らないと言っている。
 それなのにいつまでも結論を出さない、本人を追い詰めて自白に持っていこうとする「監視委員会というのはある意味で本当に必要なのかなというようにも思ってきていまして」(山本氏)、「これから私は監視委員会のあり方についてじっくり検討していきたいと思っています」(同)
 SESCに対する明確な圧力発言である。しかもこの質問は、吉岡が山本議員に頼んだというのだ。呆れ果てた話である。
 それ以外にも吉岡被告との関わりで、ファンド会社の代表取締役にもなっていたのだ。 SESCは当然、こんなアホ議員の言うことは聞かず2人を告発した。この問題は国会で追及されることになるはずだが、山本デージンが逃げ切るのは難しかろう。

 第1位は、どれを読んでも真相がわからない夏目三久の結婚&妊娠騒動。そういう意味ではどう進展するかわからない、稀で不可思議なスキャンダルである。
 夏目三久(32)という女子アナには「スキャンダル」が取り憑いているようだ。日本テレビの有望なアナウンサーとしてスタートを切ったが、コンドームの箱を手にして微笑む写真が『FLASH』に載り、辞めざるを得なくなりフリーに。
 芸能界のドンといわれる田辺昭知(しょうち)社長(77)の田辺エージェンシーに入り、テレビ朝日の『マツコ&有吉の怒り新党』、TBSの『あさチャン!』、日テレの『バンキシャ!』などに出演して人気者になるが、今度はお笑いタレントの有吉弘行(ひろいき)(42)と噂になり、日刊スポーツが「夏目三久アナと有吉熱愛! すでに妊娠」とスクープしたのである。
 本来なら慶事であるはずだが、なぜか田辺社長は激怒し、『新潮』によると「各局の担当者に対し、“日刊の記事には1秒も触れるな”と厳命」したというのだ。
 そのためテレビで2人の熱愛について触れる局はなく、日刊スポーツは翌日も報じたが、「その他のスポーツ紙は単に、『事実無根』『事務所が否定』としか書かなかった」(『新潮』)。ドンの威光はあのジャニーズ事務所をも上回ったというのである。
 報道を規制したばかりではなく、ドンは日刊スポーツ側への「法的措置も検討している」と言われ、『文春』でTBS関係者が、ドンは「こっちは医師の診断書を出してもいいんだ」とまで言っていると報じている。
 ここまで田辺社長が怒るのは、他人が羨むほど夏目を溺愛しているからだという。
 「大社長の入れ込みようは現場でも話題になった。開始当初(『あさチャン!』のこと=筆者注)、二人が手をつないでTBSへ来たのを目撃されたこともあった」(『文春』)そうだ。
 このドン、52歳の時、所属タレントで15歳下の小林麻美と結婚しているように、年下を可愛がる性分なのかもしれない。
 スクープした日刊スポーツ側は報道内容に自信を持っているようで、一歩も引く構えは見せない。当の有吉は『文春』の直撃に「何も無いんです、本当に。全部誤報」と全否定している。
 そこに9月1日発売のスポニチが「夏目三久 熱愛、妊娠報道を完全否定」と夏目の電話独占インタビューを掲載したのである。夏目はこう語っている。

 「事務所にも私にも取材せず電話の一本すら入れていないあのような記事は信用され、事務所が事実無根と言っても信じてもらえない。でも、もうはっきり言わせていただきます。このままでは自分の気持ちが壊れてしまう。記事に書かれているような事実は一切ありません。誰も信じてくれなくても、もう一度言います。事実ではありません」

 『文春』、『新潮』の報道を読む限り、夏目が有吉と付き合っていたことは事実のようだ。だが妊娠の事実も、結婚して番組を降板するというのも、本人がここまで否定しているのだから、ないのかもしれない。
 ここからは邪推だが、寵愛する自分の事務所の所属タレントが男と交際するのを許せないドンが、すべてをなかったことにしようと親しいテレビ、スポーツ紙を抱き込み、夏目や有吉にも口封じしたのだろうか。真相は藪の中である。『文春』で夏目が子どもの頃離婚した父親が、娘を気遣ってこう言っている。

 「あまりチャラチャラ、ああいう世界にいない方がいいかなと思います」

 私もそう思う。『現代』は、夏目と有吉が付き合っていることは事実とし、日刊スポーツは交際よりも妊娠情報を先に入手したそうだから、病院関係者などたしかなルートがあるのではないかと、芸能事務所幹部が語っている。
 TBSの『あさチャン!』は来月3月まで契約があるので、降板はないと言うしかなかった。あとは、芸能界を引退覚悟で夏目が田辺のところをやめることがあるかどうか。
 有吉のほうは田辺に対して「もう夏目とは会わない」という一筆を入れたという情報もあるそうだ。
 夏目を巡る田辺と有吉の三角関係のもつれか? 世の中にはよくある話だが、喜寿のじいさんがらみでは、スキャンダルとしてもあまりできはよくない話である。
 いつになったら真相が明らかになるのか。ちょっと気になる話ではある。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 家電業界の景気は決してよろしくない。一方では新興のメーカーの商品、たとえば以前に紹介したバルミューダのトースターなど、着実にヒットはある。決して安くない価格帯にもかかわらずだ。大手もこの時流を察知し、保守性を脱しようとしている。家電のニーズが変わってきたといえるかもしれない。

 いま、持っているだけで人に自慢できる、ステータスの高い家電が人気を集めている。これらドヤ顔が出てしまうような家電は、俗に「ドヤ家電」と呼ばれる。日経MJが発表した2016年上半期ヒット商品番付にもランクインした。彼氏・彼女をはじめて部屋に入れたとき、相手にアピールできる側面(ちょっと自意識過剰っぽいが)から、「モテ家電」ともいうそうだ。

 エスプレッソマシンや赤外線ロースター、蚊取り機能付き空気清浄機……。ドヤ家電自体、あるいはその機能性は、生活に絶対的に必要なものではない。だがオシャレで、ふだんの暮らしのステージを高める。かつてクルマを持っていることが「ファッション」として重要だったように、いまは家電が「ファッション」なのだといえるだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 毎年8月に日本テレビ系列で放送される「24時間テレビ」は、「愛は地球を救う」をキャッチフレーズに日本全国でチャリティー活動を展開する番組だ。なかでも、視聴者の涙を誘うのが、障害のある人や難病の患者などが登山やスポーツなどに挑戦する感動企画だ。2016年も、下半身不随の少年が富士山に登山したり、目や耳の不自由な子どもたちのよさこいなどが放送された。

 だが、今年は、その裏番組として、NHKのEテレがぶつけてきた「バリバラ(バリアフリー・バラエティ)」が大きな話題となっている。

 「バリバラ」は、2012年にスタートした障害のある人のための情報バラエティで、障害者をはじめとした生きづらさを抱えるマイノリティーの人たちのバリアをなくし、多様性のある社会づくりを目指す番組だ。

 その「バリバラ」が、「24時間テレビ」がフィナーレを迎えるのと同時刻の8月28日(日)の夜7時から、「検証!『障害者×感動』の方程式」と題して、メディアがつくりあげる障害者像への疑問を投げかけたのだ。

 そのなかで紹介されたのが、2014年12月に亡くなったオーストラリア人のコメディアンで、ジャーナリストのステラ・ヤング氏の次のコメントだ。

 「手がない女の子が口にペンをくわえて絵を描く姿、カーボンファイバーの義肢で走る子ども、こうした姿をみたとき、みなさんは『自分の人生は最悪だけど、下には下がいる。彼らよりはマシ』だと思うでしょう。私たちはこれを『感動ポルノ』と名づけました」

 骨形成不全症という障害をもって生まれたステラ・ヤング氏は、人生の大半を車椅子に乗って過ごした。その彼女が生前に出演した番組で強調したのが、自分は障害のない人の感動の対象ではないということだった。

 障害のない人を勇気づけるために、障害のある人をネガティブな存在としてとらえることは、消費の対象とした「モノ」扱いになると批判。障害があろうとなかろうと、当たり前の「人」とした扱われる社会がつくられることを望んでいた。

 「バリバラ」のなかで、障害のある出演者のひとりは、「同じ人間として一緒に怒ったり、一緒に笑ったり、一緒に思いを重ねていくということが、本当の感動ではないのか」といったことを発言していた。

 障害のある人とともに生きる社会をつくるためには、まずは障害のある人の存在、彼らの暮らしの実態を知る必要がある。その意味では、「24時間テレビ」のように障害のある人が前面に出てくる番組の存在は重要だ。だが、障害のある人を、いつまでも「感動ポルノ」の対象として一方的に描いていては、本当に一緒に生きる仲間になるのは難しい。

 障害のある人も、ない人も、一緒に感動できる社会にするためには、障害のある人を憐れむ存在としてではなく、ともに学び、尊敬し合う存在であることを認識する必要があるだろう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 2016年8月末現在、庵野秀明(あんの・ひであき)監督の最新作『シン・ゴジラ』が興行収入50億円を超えた大ヒットになっている。本作は公開前の宣伝の投下がかなり少なく、巷間よく批判される「作品の質とは無関係のメディア牽引型のヒット」とは対極にあると考えてよいだろう。

 驚くべきことに、本作でのゴジラの描き方は「世界で人気のジャパニーズキャラクター」ではない。明快に「倒さねばならぬ敵」だ。すでに長年愛されてしまった存在を、こうして描くことはビジネス的に不安が残ったはずだ。庵野監督の(ゴジラを恐怖として描いた第一作目に立ち向かおうとする)作家としての意志がそら恐ろしい。このコンセプトを通した東宝もたいしたものだと思う。ちなみに、2014年にギャレス・エドワーズが監督したハリウッド版ですら、ゴジラはいくばくかの愛嬌をもって描かれている。

 やはりここは、近年の制約の多すぎる映画界を振り返って、作家が作家性を発揮することの真っ当さを強調したいところだ。映画をヒットさせるとはどういうことか。必ずしもマーケティング先行ではなく、作家が描くべきと思っている表現ができれば、マーケットはついてくる(こともある)。

 『シン・ゴジラ』を政治的に語る声は多いが、宗教モチーフの多い『エヴァンゲリオン』になんら宗教的思想がないように、監督もエンターテイメント以上のものを表現したつもりはおそらくない。あの「3・11」を経て、「巨大怪獣が現れる」という荒唐無稽な設定に、(これまでのシリーズよりは)強めの政治要素を入れることが自然だった……ただそれだけのことではなかったか。それでもファンやアンチは、作家の意図せざるところまであれこれと語る。そして口コミの効果は絶大、社会現象化しているのである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 金融サービスと情報技術(IT)を融合した「フィンテック」(FinTech)が金融界に大きな変革をもたらしている。

 フィンテックは、造語である。ファイナンス(金融,Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせたものだ。パソコンやスマートフォン、タブレット、さらにはビッグデータ、人工知能(AI)などを活用した、これまでにない「新しい金融サービス」と位置付けられている。決済などが手元のスマホなどで簡単にできるとなれば、利用者の利便性は大きくアップするのは言うまでもない。

 身近なもので言えば、コンビニなどで、電子マネーやスマートフォンを使った電子決済を利用している人も少なくないだろう。ネット上の仮想通貨「ビットコイン」もそうだ。事業の資金調達を、インターネットを通じて募るクラウドファンディングもその一つだ。資産運用をAIが相談に乗るサービスもある。
 
 フィンテックへは、金融やIT業界はもちろん、流通や運送、製造業など様々な異業種も参入、提携しようとしている。当然、日銀も動いている。2016年8月、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁はフォーラムでこう語った。

「情報技術の進歩は、金融活動全般に影響を及ぼす。将来的に自ら(日銀)の業務にフィンテックを活用する可能性も含め、調査研究を進める必要がある」──日銀の業務にフィンテックを取り入れる考えを示したということだ。 
 
 政府も顧客保護などの観点から、必要な法整備をしなくてはならない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 今回のSMAP解散騒動を、かの「ビートルズ解散」になぞらえる記事やコラムが、ネット上に氾濫している。

 一般的には、「グループから孤立した」という現状からキムタクをポール・マッカートニー、「残りメンバーの精神的支柱」ということで中居クンをジョン・レノンに見立て、香取クンは「気鋭な末っ子」のジョージ・ハリスン、草彅クンは「温厚な職人」のリンゴ・スター(※吾郎クンはジョージかリンゴ、どちらかに流動的なかたちで組み込まれる)とする向きが多かったが、ここ最近では「グループを愛するがゆえ真っ先に離脱を表明した」香取クンをポールと見なす“説(?)”が、にわかに有力になりつつある。

 これら二つのビッグ・グループの“解散騒動”をよくよく冷静に比べてみると、「孤立したメンバーの“存続”に対する意思」だとか「音楽性の食い違いの有無」だとか……案外、似て非なる部分もあったりするのだが、「一人の女性の存在がグループの結束に少なからずの亀裂を入れた」(工藤静香とオノヨーコ)、「一人の敏腕マネージャーが去ってしまったことをきっかけに、崩壊への歯止めが利かなくなった」(I氏とブライアン・エプスタイン)といった点に関しては、「酷似」と言っていいのかもしれない。

 いずれにせよ、筆者個人としては“再結成”によって、SMAPには“脱ビートルズ化”を目指してもらいたいと、内心ではホンのちょっぴり願っていたりもする。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


<<前へ       次へ>>