日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 もう一回だけ、2010年度の「国語に関する世論調査」に関する話にお付き合いいただきたい。この世論調査では毎回意味の誤りやすいことばの調査も行っており、今回の調査項目の中に「姑息(こそく)」が入っていた。「姑息な手段」などというときの「姑息」である。
 このことばは今までもたびたび調査されており、2003(平成15)年の調査では、「一時しのぎ」という本来の意味で使う人が12.5%

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 このコラムでもしばしば参考にさせてもらっているのだが、文化庁の「国語に関する世論調査」の2010年度の調査結果が、9月15日に発表された。放送や新聞などでは直後にその調査結果を取り上げていたのだが、ほぼ共通して話題にしていたのは、「寒っ」「すごっ」「うるさっ」という語幹のみの形容詞の用法であった。
 今回、このような語幹のみで使われる形容詞に対して、実際に使うという人や、自分では使わな

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 何かと暗い話題の多かった相撲界だが、久しぶりに日本人の新大関が誕生し、今年最後の九州場所は少しは盛り上がりそうである。
 その新大関を取り上げたあるテレビ番組で、大関に昇進すると化粧まわしの馬簾(ばれん)と呼ばれる下飾りの部分に紫色を使うことが許されるということを知った。
 このように、ある地位以上の者にしか使用を許されない色のことを「禁色(きんじき)」というのだが、大相撲に

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 外国人に日本語を教える日本語教育は近年ますます盛んになっているようだが、最近とてもユニークな教育法があるということを知った。なんと落語の小噺を活用した教育法があるというのである。
 考案したのは、アメリカのミドルベリー大学日本語学校の畑佐一味校長。しかも畑佐校長は単に小噺を取り入れただけでなく、実際にプロの落語家に直接指導にあたってもらうという、ふつうでは考えもつかぬようなことを実践し

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 以前もご紹介したのだが、サッカー日本代表の岡田武史元監督に、「辞書引き学習」の深谷圭助氏との対談のために編集部までおいでいただいたことがある(第59回)。その折に岡田氏から 「人間万事塞翁(さいおう)が馬」という故事成語をよくお使いになっているというお話をうかがった。
 その時はさらに「人間」を何と読むのかということが話題になった。岡田氏は「にんげん」と言っていたそうだが、ある時それは

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