日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 まずはクイズから。
 本文ページ1200ページの国語辞典の場合、その真ん中に当たる600ページは、五十音のだいたいどの音のあたりか?
  A.五十音の「し」の最後
  B.五十音の「に」の最後
  C.辞書によって違う
答えは、Aの サ行の「し」の最後あたりである。
 前回に引き続いて「五十音図」の話になるが、五十音の真ん中はBの答えの

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 高校の国語の教師をしている知人から、最近の高校生の中に「五十音図」が書けない生徒がいるという話を聞いた。古典の授業で古語動詞の活用を教えようとして異変に気づいたのだという。「五十音図」はア行、カ行、サ行…とあり、各行が母音によってア段、イ段、ウ段…となるように整然と配列されているのだが、その関係が理解できていないのだそうだ。そのため、動詞の四段活用とか上二段活用などと言ってもなかなか理解できない

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 まずは問題から。
 「親切の類義語、コウイを漢字で書きなさい。」
 皆さんはこの「コウイ」をどのように書くであろうか。「厚意」?「好意」?
 実はこれ、実際に小学校でテストに出題された問題なのである。お子さんが「好意」と書いたところ×になり、正解は「厚意」だと言われたという保護者の方から、「好意」では間違いなのかという質問を受けたのである。
 筆者が編集を

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 このコラムでたびたび話題にしていることだが、日本語には読み方が複数あって声に出して読むとき判断に迷う語がかなりある。今回取り上げる「逆手」もそのひとつで、「ぎゃくて」とも「さかて」とも読める。
 この場合「ぎゃく」は字音、「さか」は字訓で、「て」は字訓だから「ぎゃくて」と読むのは重箱読みになる。だが、どちらの読み方もかなり一般化している。
 たとえば、鉄棒などでは手のひらを自

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 まずは問題から。「ホール・ボール・ポールの各語は国語辞典ではどのような順番で並べられているか答えなさい」と聞かれたら、皆さんはすぐにおわかりになるであろうか。
 小学校の学習指導要領では小学3年生で国語辞典の使い方を教えることになっていて、これは実際に小学3年生の国語の教科書に掲載されている内容なのである。
 確かに国語辞典ではこのような見出し語の配列基準を設けている。たとえ

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