日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「あのお店の店員は愛想がよくていいね」などというときの「愛想」だが、この語を皆さんは「あいそ」「あいそう」どちらで読んでいるだろうか。筆者自身はというとその時々で揺れているような気がする。
 そして歴史的にも「愛想」の読みは揺れている語なのである。
 現在の国語辞典がどのように扱っているのかというと、大まかな傾向として「あいそ」を本項目として、その中で「あいそう」について触れ

キーワード:


 「帰」という漢字の部首をご存じだろうか。ほとんどの辞書は「巾」の部に入れている。ちょっと意外な感じがするのだが、皆さんはいかがであろうか。
 だが、「巾」も元々の部首ではなかった。「帰」の旧字は「歸」で、部首は古くは「止」とされていた。つまり漢字の左側の下の部分を部首としたのである。それが「帰」という字体に変わり、「止」の部分が無くなったので、従来あった「巾(はばへん・きんべん)」の部

キーワード:


 人から宴席などに誘われたとき、「枯れ木も山の賑わいと申します。ぜひおいでください」と言われたら皆さんはどう感じるであろうか。筆者なら、何と失礼な言い方をするのだと怒ってしまうであろう。あるいは、そうかこの人はぼくのことをそう見ていたのか、どうせ自分はもう若くないからな、とすっかりいじけてしまうかもしれない。
 ところが、そう言われても腹を立てたりいじけたりしない人が増えているらしいのだ

キーワード:

第106回
 

 日本語の文章では、文字以外の記号(符号)に何らかの意味をもたせて使うことが時々ある。今回はそういった記号のひとつ、「×」を取り上げてみたい。
 「×」はもとより、同じように使われる「○」「△」ももちろん文字ではないのだが、まだ少数派ながら見出し語を設けて解説している国語辞典が出始めている。また、漢和辞典でもたとえば『現代漢語例解辞典 第2版』(小学館)では、「非漢字」という扱いでこれら

キーワード:


 日本で毎年生まれる新語は圧倒的に名詞が多い。「イクメン」「スマホ」「どや顔」など、記憶に新しい新語はすべて名詞である。
 だが、他の品詞でも新語が生まれないわけではない。たとえば2つ以上の文章をつなぐ働きをもつ、少数派の接続詞。これだって新語が生まれるときがある。接続詞がどれだけ少ないかというと、総項目数90,320語の『新選国語辞典』第9版には収録語の品詞別分類が示されているのだが、

キーワード: