日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 タイトルを見て、何を当たり前なことをとお思いになった方は多いと思う。だが、近年、音読みと訓読みの区別ができない大学生が増えているらしいのだ。日本語学が専門の某女子大の教授から聞いた話である。
 今更言うまでもないことだが、音読みは中国から日本に伝来して日本語化した漢字の発音による読みであり、訓読みは漢字の日本語としての読みである。
 だが、中にはその読みが音と訓のどちらなのか

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 最近メールやマンガなどで、「こんちわ」「ちわー」「ちわっ」などという表現を見かけるようになったが、皆さんはこのような書き方に抵抗はないであろうか。さらには「こんにちわ」という表記すら見られる。もちろんこれらはすべて誤用からきているのである。
 言うまでもないことだが、正しくは「こんにちは」と書く。「わ」ではなく「は」と書くのは、元来は「今日はよいお天気で・・・」などの後ろの部分が略され

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第112回
 

 「六月無礼」ということばをご存じだろうか。
 陰暦の六月は暑さのきびしい時季なので、服装を略式にする無礼も許されるという意味である。今で言うクールビズに近い。
 6月5日付けの『朝日新聞』の「天声人語」にこのことばが紹介されていたので、それで知った方も大勢いらっしゃることであろう。「天声人語」ではこのことばは「古く平家物語にも出てくるそうだ」としていたが、間違いではないが正確

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 「映画館で悲しい映画を見て号泣したことはありますか?」
 そう聞かれて、「ある」と答えたとしたら、その人はかなり勇気のある人だと思う。というのは、「号泣」の本来の意味は、大声をあげて泣き叫ぶということだからである。
 自宅で1人で映画を見ているときなら、大声を出して泣くこともあるかもしれない。だが、他の人がいる映画館で周囲もはばからずにそうすることはかなり勇気がいることだろう

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 第106回で関西では「×」を「ぺけ」と言うと書いた。だが、千葉県出身の筆者にとっては「ぺけ」は別の意味のことばとなる。何かというと「最下位」のこと。「運動会の駆けっこでぺけになった」などと使うのである。
 東京女子大学教授の篠崎晃一氏によると、この意味で「ぺけ」を使う人は埼玉県に多いらしい(『出身地(イナカ)がわかる方言』幻冬舎文庫)。『日本国語大辞典』の方言欄を見ると、関東では栃木県

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