日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 みなさんは「右開き(左開き)の扉」というと、どちら側に開く扉を考えているだろうか。実は、「右開き」と「左開き」についてはかなり混乱があるらしいのだ。
 実際、国民生活センターのホームページを見ると、インターネット通販で、扉の右側が開くタイプの冷蔵庫を買おうと思い、「右開き」と表示されているものを選んだところ、左側が開くタイプが届いてしまったという事例が紹介されている。そのホームページで

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 国語辞典はその規模にもよるのだが、ふつう5~10年くらいのサイクルで改訂版、つまり新版を刊行する。新版では語釈、例文などを見直し、新項目を追加することが目玉となる。
 新版で追加される新項目の数は辞典の規模によってまちまちであるが、改訂版での追加項目の話をすると、必ずと言っていいほど、新項目を追加するのであれば削除されることばもあるのではないか、それを教えて欲しいと言われる。

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 先日、東京都千代田区立日比谷図書文化館で「辞書編集者を悩ませる日本語」というタイトルで講演をする機会があった。講演のあと、おいでくださった方から筆者が答えに窮するようなこんな質問を受けた。
 「マツタケずくめの料理」「マツタケづくしの料理」:この場合「ずくめ」「づくし」どちらが正しいのか。 
 すかさず「『マツタケづくし』ではないですか」と答

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 「おもむろに席を立つ」と言ったときの「おもむろに」を、皆さんはどういう意味だとお思いだろうか。もちろん正しい意味は、動き方がゆっくりしているさま、落ち着いて行動するさまということなのだが、これを「突然に」「不意に」の意味だと思い込んでいる人がけっこういるらしいのだ。
 以前、日本語にはその語の音(おん)から受ける印象で、意味を誤解させられてしまうものがあるらしいということで、「やおら」

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 先ずは以下の文章をお読みいただきたい。筆者が編集を担当した『現代国語例解辞典 第4版』(2006年刊)に立項されている、「ざっくり」という語の語釈(解説)部分である。
 (1)力を込めて物を切ったり、割ったりするさま。
 (2)深くえぐれたり、大きく割れたりするさま。
 (3)布地などの手ざわりや目などの粗いさまをいう語。
 いかがであろうか。これを読んで

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