日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「辞書引き学習」で有名な深谷圭助氏からたいへん興味深いお話をうかがった。「消化きかん」の「きかん」の誤答率が驚くほど高いというのだ。皆さんは大丈夫だろうか。
 正解はもちろん「器官」である。だが、「器管」だと思っている人がけっこう多いようなのだ。深谷氏とは「辞書引き学習」の指導のために、全国各地を一緒に回っているのだが、実際ある地方都市で会場に来てくださった方に、「消化器官」と書くか「

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 今回はおのれの恥をさらさなければならない。
 発端は、「辞書引き学習」の開発者である深谷圭助氏から、聞いたこんな話である。氏の小学校一年生のお子さんが、あるとき同級生とけんかをしたのだそうだ。その理由がまた面白い。けんか相手は「○谷」くんといって名字に「谷」という漢字を使っているのだが、その「谷」は「たに」と読むのだそうで、「ふかや」である「深谷」くんと、「谷」を「たに」と読むか「や」

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 「さくさく」といっても、今回取り上げたいのは「パソコンがさくさく動く」などというときの「さくさく」ではない。この手際よく行うさまを意味する「さくさく」も、どの程度定着しているかという問題があるのだが、そのことは第185回で触れた。
 今回の「さくさく」は漢字で書くと

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「大臣の発言が物議(ぶつぎ)を醸(かも)した」などというときの、「物議を醸す」だが、これもまた本来なかった言い方が広まりつつあることばである。どのようなものかというと、「物議を醸し出す」「物議を呼ぶ」という言い方である。みなさんはいかがだろうか。「物議」とは世の人々の議論という意味だが、「物議を醸す」の形で世間の議論を引き起こすという意味になる。
 文化庁が発表した2011(平成23

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 「たわ(あ)いなく眠りこける」「たわ(あ)ない話はよせ」などというとき、皆さんは「たわいない」「たあいない」のどちらで言っているであろうか。筆者はどうかというと、そのときの気分でどちらも使っているような気がする。
 「たわ(あ)いない」は、比較的意味に広がりのある語で、国語辞典ではふつう以下の3つの意味に分けて説明している。

(1)「ビールを一杯飲んだら、たわ(あ

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