日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 東・西・南・北と、北東・北西・南東・南西の8つの方位を総称して、八方位ということはご存じだと思う。この中で、東・西・南・北のそれぞれ中間の方角をみなさんは何と言っているだろうか。北東・東北、北西・西北、南東・東南、南西・西南、いずれかでおそらく揺れているという方が多いと思う。
 今回の話題は6月に東京都千代田区の日比谷図書文化会館で講演をしたときにおいでくださった方からご教示いただいた

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 「横入り」ということばをご存じだろうか。並んでいる人の列などに横から無理やり入ることである。どちらかというと年齢の若い層に、よく使うという人がいるかもしれない。
 この「横入り」だが、実は新方言などと呼ばれる新しい方言だということはあまり知られていないのかもしれない。そのせいか、NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」のせりふにこのことばがごくふつうに使われていて、驚いたことがある。

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 紹介や予約無しで店に来る客のことを「ふりの客」というのだが、この「ふり」を英語の「フリー(free)」だと思っている人がいるらしい。確かに音は似ているが、この「ふり」はもちろんれっきとした日本語である。動詞「ふる(振)」が名詞化して「ふり」となったものである。ただし、なぜ「振る」が名詞化してこのような意味となったのか実はよくわかっていない。
 『日本国語大辞典 第2版』(『日国』)によ

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 「おざなり」と「なおざり」の違いがわからないのだが、どう区別すればいいのだろうかという質問を受けた。
 このふたつのことばの関係は、確かに不思議だ。順序が違うだけで、どちらも「お」と「ざ」と「な」と「り」の同じ4文字で成り立っているではないか。まるでアナグラムである。なんともまぎらわしい。
 漢字で書くと、「おざなり」は「御座形」、「なおざり」は「等閑」となる。おそらくどちら

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 「君子は豹変(ひょうへん)す」という成句をご存じだと思う。みなさんはふだんこれをどのような意味で使っているだろうか。
 実はこの成句も本来の意味とは違う意味が広まりつつあるのである。
 この成句の出典は、中国の『易経』という書物である。『易経』とは、中国五経(儒学で尊重する五部の経書(けいしょ))の一つで、陽と陰の印を組み合わせた六十四卦(け)によって自然と人生の変化の道理を

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