日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 「二の舞を踏む」という言い方をお聞きになったことはないだろうか。
 自分はそう言っているよという方もけっこういらっしゃるかもしれない。だが、この「二の舞を踏む」は誤った使い方で、「二の舞を演じる」が正しい言い方だと言われている。私が使っているパソコンのワープロソフトも「二の舞を踏む」と入力しようとすると、親切にも《「二の足を踏む/二の舞を演じる」の誤用》と教えてくれる。共同通信の記者ハ

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 最初は何かの冗談かと思った。「世間ずれ」ということばのことである。世の中の考えから外れているという意味だと思っている人が増えていると聞いたからである。本来の意味は、世間を渡ってきてずる賢くなっているということなのだが。
 冗談かと思ったのは、世の中の考えから外れているという意味だと、「世間ずれ」の「ずれ」を「ずれている」と理解していることになるからである。もちろん「ずれ」は「ずれる」で

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 以下の語の意味をご存じだろうか?

 「愚痴(ぐち)る」「事故(じこ)る」「告(こく)る」「きょどる」「サボる」「パニクる」「タクる」「ディスる」「チンする」「お茶する」

 いずれも先日文化庁が発表した2013(平成25)年度の「国語に関する世論調査」で、意味の広まり具合の調査が行なわれた語である。これらは「~る」「~する」を伴って動詞化した語だが、世代

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 表題の「吝か」は難読語であろう。「やぶさか」と読む。ふつう「やぶさかでない」の形で使われることが多いのだが、この語も意味が揺れていることばのひとつである。先ごろ文化庁から発表された2013(平成25)年度の「国語に関する世論調査」でも、それが裏付けられた。
 「やぶさかでない」は「協力するのにやぶさかでない」のように使うのだが、本来の意味は「喜んでする」ということである。ところが、「仕

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 「食指(しょくし)が動く」という言い方をお聞きになったことがあると思う。だが、最近「食欲をそそる」との混同からか、「食指をそそる(そそられる)」という人が増えているらしいのだ。文化庁が発表した2011(平成23)年度の「国語に関する世論調査」でも、本来の言い方である「食指が動く」を使う人が38.1パーセントであるのに対して、本来の言い方ではない「食指をそそられる」を使う人が31.4パーセントとい

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