日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。

第239回
 

 漢字4字で構成される熟語を、「四字熟語」と呼ぶことはご存じだと思う。だが意外なことに、この呼び名は国語辞典によっては見出し語として載せていないものがけっこうあるのである。さすがに『大辞泉』『大辞林』『広辞苑』クラスの辞典には載っているのだが、お手元に小型の国語辞典があったらぜひ一度お調べいただきたい。
 漢字4字からなる熟語はすべて四字熟語と呼べるかというと、そういうわけではない。ふつ

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 「パジャマに着替える」と言うとき、皆さんは「着替える」を何と読んでいるだろうか。「きかえる」だろうか、それとも「きがえる」だろうか。意外に思う方が多いかもしれないが、伝統的な読み方は「きかえる」なのである。
 なぜそう言えるのか。いささか専門的な話で恐縮なのだが、2つの語が結合したとき、後にくる語の語頭の清音が濁音になる現象を連濁(れんだく)という。たとえば、「青(あお)」と「空(そら

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第237回
 

 いきなりで恐縮なのだが、表題の「破落戸」を何と読むかと聞かれたら、皆さんはすぐに答えられるであろうか。
 正解は、「ならずもの」または「ごろつき」である。かなりな難読語だと思う。
 なぜ「破落戸」と書いてそう読むのかというと、もともと中国に「破落戸」という語があって、それに日本で「ならずもの」「ごろつき」という読みをつけたからである。「破落戸」は諸橋轍次(もろはし・てつじ)の

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 さほど広まっているわけではないのかもしれないが、たとえば「寝起きの悪さでは私の右に出る者はいない」などという文章を見かけたことはないだろうか。寝起きの悪さにかけては自分よりひどい人はいないということを強調した文章である。だが、もちろんこれは「右に出る者はいない」という言い回しの間違った使い方である。
 「右に出る者はいない」は、右を上と考えて、その人以上のすぐれた人はいない、凌駕(りょ

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 日本のフォークグループ、アリスが1978年にヒットさせた「ジョニーの子守唄」という曲をご記憶だろうか。また、1970年に渚ゆう子が歌って大ヒットした「京都の恋」という曲はいかがであろうか。さらに古い話で恐縮なのだが、1951年に津村謙が歌って大ヒットした「上海帰りのリル」という曲は。
 ここでひとつ問題である。この3曲の歌詞の中に今回話題にしたいことばが共通して出てくるのだが、何かおわ

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