日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 ことばには話のネタになりそうな事柄が豊富なことばと、そうではないことばとがあるような気がする。今回取り上げる「ピンからキリまで」は、間違いなく前者だと思う。
 まずは意味に関するネタはどうだろう。
 「ピンからキリまで」は、本来は始めから終わりまでという意味で、そこから、最上のものから最低のものまでとか、上等なものから下等なものまでといった意味で使われるようになった。ところが

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 「堪能」はふつう「たんのう」と読まれることが多いのだが、この語にはとても面白い歴史があるということをご存じだろうか。
 「たんのう」は現在では「英会話に堪能な人」などのように、その道に深く通じるという意味と、「秋の味覚を堪能する」などのように、満足するという2つ意味があるとされる。だが、それぞれの意味はまったく別のことばから生まれたものなのである。
 その道に深く通じていると

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第242回
 

 「目を切る」といっても、「顔に小枝が当たって、目を切った」というときの「目を切る」ではない。新しい意味の「目を切る」なのである。どうもそれが広まりつつあるらしいのだ。“らしい”というのは、この語の存在に気付いたのがごく最近だからである。
 きっかけは、宮部みゆきさんの小説『ソロモンの偽証』によってであった。少年時代の愛読書の一つだったエーリヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』のオマージュとも思

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 表題の「画龍(竜)点睛(てんせい)」の「画龍」を、皆さんは「がりゅう」「がりょう」どちらで読んでいるだろうか。お手元に国語辞典があったらご覧いただきたいのだが、ほとんどの辞典は「がりょう」と読ませているのではないか。『大辞泉』などは、「がりゅう」とは読まないとまで言い切っている。NHKも「がりゅう」は誤りだとしている(『NHKことばのハンドブック』)
 「りょう」「りゅう」の違いは何か

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 若い人たちが、「まじ、やばい」などと言っているのを聞いたことがあると思う。
 今回はこの若者ことば「まじ」の話である。もう一つの「やばい」も若者ことばだが、これについては第171回ですでに触れているので、そちらをご覧いただきたい。
 さて、この「まじ」だ

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