日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 あるテレビドラマで、役者さんが、「水を得た魚のよう」の「魚」を「さかな」と言っているのを聞いて、おやおやと思ったことがある。もちろん、「水を得た魚のよう」の「魚」は「うお」と読むのが正しい。
 「水を得た魚のよう」は、「魚の水を得たるごとし」とも言うのだが、どちらも「魚」は「うお」と読まれてきた。
 このことばの出典は、中国の歴史書『三国志』の「蜀志」に収められた「諸葛亮伝」

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 「つっけんどんで取り付く○まもない」の「○」の中に入るひらがな一文字を答えなさい。
 こんな問題があったとしたら皆さんは何と答えるであろうか。正解は「し」、すなわち、「取り付くしま」が正しい。「しま」の意味は頼りにしてとりすがる所、頼るべき所ということである。「取り付くしまがない」のように打消表現を伴って用いることが多い。
 ところがこの「しま」を「ひま」だと思

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 食べた物がとてもおいしかったときに使う表現に、「あごが落ちる」という言い方があることはご存じだと思う。「ほっぺたが落ちる」と同じ意味である。ところがこの言い方は「あごが外れる」と混同して、大笑いをするという意味で使われることがあるらしい。だがそれは誤りで、『大辞泉』などもはっきりと間違いだと言い切っている。
 もちろん私もそのことに対して異を唱えようなどという気は毛頭無い。ただことはそ

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第245回
 

 「なにげにあの人のことを食事に誘ってみたいんだけど」という文章を見かけたり聞いたりしたとき、皆さんはどう感じるだろうか。「なにげに」っていったいどういう意味? 俗語っぽくてなんだかやだな! など、反応はさまざまかもしれない。だが、この「なにげに」はじわじわと広まりつつあるのである。
 まず「なにげに」の意味を確認しておこう。文法的に説明すると形容詞「なにげない」の「ない」

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